バイドゥ(百度)株式会社で働くR&Dエンジニアとして、世界一楽しい検索エンジンを作っています。情報系大学院生が、腕一本で「世界で一番アツい会社」に就職するまで&してからの記録。
30 3月
やっと就活も一段落して、博士も無事取れたので、自分の就活体験について、「就活を始める前の自分に伝えたい、博士の就活のコツ」という形で書いてみる。同じ境遇にある人の参考になれば幸いです。
■ 情報収集フェーズ と 応募フェーズは分ける
まず大前提として、博士を出て就職しようという場合、大企業で博士新卒の枠に収まるのでなければ、「けものみち」就活は覚悟しなければいけないということ。それだけ、基本的なスキルに加え、枠にとらわれない柔軟性、積極性、対人能力が求められる。修士までの「レールの敷かれた」就活とはかなり事情が異なるので、ここでは梅田さんの言葉を借りて「けものみち」就活と呼んでみたい。
就活を始める前の自分に一つだけ最も大切なことを伝えられるとしたら、「まず情報収集を、早めに、徹底的にやっておく」ことをアドバイスするとおもう。情報収集といっても、企業のウェブを見たり、『就職四季報』を見たりといった表面的なことではなく(もちろんそれも大事だが)、実際に社員の人に会って話を聞いたり、オフィスの見学をしたり、可能ならばインターンのような形で働けるとベスト。
社員の方というのは、普通は自分の会社のことなら喜んで紹介してくれると思うので、気軽に「興味があるので話を聞きたい」とコンタクトしてみると良いと思う。もちろん、ただ単に話を聞くだけじゃ都合が良いだけので、自分からも提供できるネタを持って行くと良い(例えば研究紹介とかデモとか)
そもそもこのような情報収集は就活には必須だけど、さらに、「情報収集フェーズ」と「応募フェーズ」を分け、ある程度情報が出そろってから実際に受け始めることをオススメする。このためには、情報収集については、とにかく早く動き始める必要がある。博士を順調に3年で出られるとしたら、2年の半ばごろには回りに「就活してます」宣言して、「もう就活ですか、早いですね?」と言われるぐらいのタイミング。
なお、現在の経済状況がこんな有様なので、良いな~と思っていた企業(ポジション)に求人が無いなんてザラ。なおさら「情報収集フェーズを分ける」のは重要。
■ 「人、人、人」
不動産における三つの重要な要素は「場所、場所、場所」とはよく言われるが、「けものみち」就職活動に重要な三つの要素は間違い無く「人、人、人」である。就活において重要な情報はネットの上には無い場合が多いし、「チャンスは人に乗ってやってくる」という言葉(千葉智之『出逢いの大学』より)に加えて、自分としては「情報は人に乗ってやってくる」も付け加えたいと思う。
このためには、普段から人的ネットワークについてほんのちょっとだけ余分に意識すると良い。自分は(国内|国際)会議に参加するたびに「毎回、新しい知り合いを最低5人は作る」ことを目的に積極的に顔を出していたが、今のところコンスタントに(目標を上回るペースで)達成できており、そこで得られた恩恵は研究や就職に限らず計り知れない。もちろん、そのためには当該分野である程度の成果を上げることが必要条件だとおもう。
目標としては、応募したいと考えている全ての会社に対して、そこの社員の方と直接面識があるか、最低でも共通の知人1人の紹介で繋がれる、といったところを目指したい。
■ 精神面と身体面を鍛えておく
「けものみち」就活に限らず、就活は長丁場になりがちで、気を遣う面接や会社訪問の連続は、たとえうまく行っていたとしても精神的にもけっこう堪えるものがある。また、1社を受けるためのコスト(実際に訪問する時間に加え、企業研究や面接対策に費やす時間)は膨大なものになる。ただでさえ博士論文や研究で忙しい博士後半なので、時間的にもかなり厳しくなるのは覚悟すべき。このために、ストレスに負けない精神面と、体力的な身体面に注意しておきたい。
個人的には、「研究と全く関係無くて」「ある程度身体を使う」趣味を持つのがオススメ。スポーツとか楽器とか旅行とか。これは、博士の長い研究生活に対しても言えるけどね。
■ 応募する最適なタイミングを見極める
「就活で理想なのは、応募した会社全てから同時に内定が出ること」とMSRでインターンしていた時に同僚が言ってた。まず全てのオファーが出そろうまで待って、そこから最適なものを一つ選ぶそうな。新卒採用で無い限り、オファー(内定)の出るタイミングはなかなか予測できないし、内定の長期間のキープもほぼ不可能である。(ただし、面接のスケジュール調整をうまく使って、複数社の応募の進行具合を調整するという技もある)
そこで、複数社に応募する場合は特に、応募するタイミングと順番が重要になってくる(この件に関して自分はダメダメで、色んな人に多大な迷惑をかけたのだけど・・・)このとき参考になるのが、「最適停止の理論」というもので、これは例えば10社を順に受けるとき、どの会社から内定が出た段階で就活をストップすべきか、ということに関して確率的な最適解を与えてくれる。詳しくは以下のページ
を参照してほしいが、この最適戦略に従うと、平均で10社中上から2.55位ぐらいのところに入社できるそうな(期待値なので、実際は1位のとこに入れるかもしれないし、10位かもしれないが、平均的に。)もちろん、「それまでに内定の出た会社が魅力度という観点で完全にランク付けできる」という前提があるが、この前提がけっこうくせ者だったりして。
ちなみにこの理論、「10人の異性と順番に付き合うとして、何番目の人と結婚すべきか?」「10人の応募者を順に面接するとして、何番目の人を採用すべきか?」という問題にも応用できて、個人的にもこれは興味深いトピックだったり。。。
■ ネットをフル活用する
上で「人」が重要だと書いたけど、同時にネットをフル活用することも大事だとおもう。これは車の両輪のようなもので、両方そろってこそまさにパワーが発揮できる。
個人的な意見としては、ネットで就活のために自分のブランディングや広報を行うという場合、現時点でブログ以上に手軽で効果的なツールは無いと思っている。面白いブログを書いている人は、会ってもやはり面白い人である場合が多いし、こういう「ネット上の知名度」の重要性は今後増す一方だと思う。もちろん、面白いWebサービスやソフトウェアを作って公開するなど、知名度を上げる戦略はブログに限ったものではないが、その場合でもやはりブログぐらいは持っておいてほうが良い。
あと、最終的な決定に関しては寄与しなかったが、個人的にはLinkedInもかなりオススメ。登録してから、企業の人事部やヘッドハンターからオファー(応募のお誘い)を何件もいただいたし、こちらから企業の人にコンタクトする場合にもかなり使えるサービスである。
■ 洋書の就職本を読む
就活を始めてから、巷に溢れるいわゆる「就活本」の類をいくつか読んでみたのだけど、総じてレベルが低いと思った(もちろん、自分が単に良い本に当たらなかったという可能性もあるので、オススメの本をご存じの方はぜひコメント等で教えてください!)
そもそも、バイトの面接ならともかく、博士の「けものみち」就活に「就活本」が役立つと考える自分がそもそも間違っていたのだが、博士に限らず、例えば面接の「想定問答集」みたいなものを本気で買って練習している人が居るかと思うとちょっとゲンナリする。下でも詳しく書くが、本気で自分がその会社で働きたくて、かつその能力がある場合、スキルとして何を求められるのか、面接で何を聞かれるのかぐらいはだいたい想像が付くものだと思うのだけど。
一方、今回は洋書の「就職本」をいくつか読んでみたが、平均レベルは総じて高い傾向がある。前にも書いたが、就職本の「けものみち度」は、間違い無く海の向こうの方が上である(Amazonで「Job hunt」で検索するとぞろぞろ出てくる)。例えば、「気になる会社のリストを用意して、上から順に、片っ端から電話をかけろ」とかいう過激な?アドバイスもあって、それを愚直に実行するかどうかはともかくとしても、色々と開眼することがあるかと思う。
この記事で紹介した
の他にも、個人的に激しくオススメしたいのが、
で、これは近年、ソフトウェアエンジニア等を採用する際にポピュラーになりつつある「プログラミング面接」についてのほぼ唯一とも言える対策本である。他の分野には関係無いと思うが、ソフトウェアに関連する職を受ける、もしくは面接する予定の人には必読の書だとおもっている。(プログラミング面接対策についてはまた改めて書く)
■ 採用というシステムをメタ視点で考える
「もし自分が会社の人事なら、この会社のこういう状況を考えると、こういうようような採用試験を課して、こういうことができる、こういう人を採る」というように、採用システムをメタに考えることができれば、上に書いたように「○○社の面接では、どんなふうに答えれば通りますか?」というマヌケな質問をしなくて済む。そういう意味で、「就活生は、イタすぎる」と斬ってくれた就活のバカヤローはかなり痛快だった(ただし、この本が就活そのものに役に立つかどうかは疑問である)。
さらにメタ度を上げていくと、会社にとって結局「人=カネ」なので、会社のカネの流れ、ひいては経済の流れにまで行き着くので、早い段階からそういう情報に敏感になっておく必要がある。もっとも、こういった類の「メタ視点」は、就職に限らず自分がその会社で働くことになってからも重要であるのは言うまでもない。
■ 自分探し、大いに結構
これまた前にも書いたが、就活と恋愛はとても良く似ている(そのせいで「婚活」なる言葉が生まれたのだが)。真剣に恋愛するとびっくりすることの一つが、相手を通じて、否が応でも「自分」という人間がありありと浮き彫りにされること。
これは就職に関しても同じで、よく就職するに当たっては、「自己分析」が大切、と言われるが、「自分」なんてものは机にじっと座って、「自己分析シート」を前にしてウンウンうなっていても分析できるものでも無く、相手に対して真剣にぶつかって、それに対する自分の反応を見た上で初めて徐々に分かってくるようなものだと思う。
そういった意味で、異性と付き合っていくうちに、「相手に対してゆずれない物」の優先順位が徐々に変化するのと同じように、就活中に、「会社に重視すること」などの視点が変わってくるのは大いにあり得るし、むしろそれ自体が就活の大きな成果だと思う。
実際、就活中にその会社のことを知る良い方法の一つは、実際に採用試験を受けてみることである。面接の担当者が魅力的ではなかったり、技術職採用なのにどうでも良い質問(「自分を動物に例えると何ですか?」みたいなの)ばかりされたりして、採用試験を受けているその場から会社に対するイメージが変わっていくこともある。こういう「違和感」みたいなものは入社後にさらに増幅する可能性が高いので大切にしたい。
なので、個人的には就活を通じた「自分探し」というのは大いに結構で、というか、そういった「自分の価値観のrefinement」自体も含めて、就活の大事なプロセスである気がする。
ただし、そもそも就職活動に限らないけど、選択にあたって自分の譲れない「軸」を持っておくことは重要だと思う。なんだか、だんだんと自己啓発本みたいなノリになってきたけど、自分の場合、
1.「迷ったら、人と違う方を選ぶ」
2.「迷ったら、得しそう、ではなく、楽しそう、を選ぶ」
3.「迷ったら、より難しそう(チャレンジング)な方を選ぶ」
という基本的な3つの行動指針があって、就活中に(というか人生全般で)迷った時にはいつもこのことを意識していた。これらは何も自分のオリジナルではなく、
1.は渡辺千賀著『ヒューマン2.0』
2.は大村あつし著『人生は数式で考えるとうまくいく』
3.はポール グレアム著『ハッカーと画家』
からそれぞれ共感した「指針」をつまみ食いしたものである。上で「会社を魅力度でランキングすること自体が難しい」ということを書いたが、迷ったときは行動指針に合わせて「どちらかより指針に合っているか」で判断すると楽になることが多い。
なお、このブログでも繰り返しオススメしているが、今では「インターン」という「会社で給料をもらいながらお試しで働いてみる」、恋愛の例えで言うと「異性と付き合う前に一夜を共にできる(?)」という素晴らしいシステムがある。日本ではまだまだちゃんとしたインターン制度を提供している企業は少ないけど、「その会社のことを知る」という点でインターン以上に良い方法は無いと思っている。
■ そんなこんなで
友人・知人にはある程度伝えたけど、4月からバイドゥ(百度)株式会社のR&Dエンジニアとしてはたらくことになりました。いろいろと紆余曲折があったけど、上の指針に照らして、単純に「最も人と違って、最も楽しそうで、最もチャレンジングな」ところを選べたと思う。ちなみに最初の勤務地は上海のR&Dセンターの予定。今からワクワクしてます。
なお、就活にあたっては、指導教官のT先生、mamorukさん、sassanoさんをはじめ、多くの方々のお世話になりました。どうもありがとうございました。
ちなみに、もともとこのブログ、「海外就職記」という名前で始めたものだった。海外で就職したいけど、どうやって就活したら良いかわからない!ということで、それなら自分の就職自体をネタにして、ブログで報告したりフィードバックをもらったりしたら良いのでは?と考えたのがきっかけ。
結局、夏にアメリカに3ヶ月インターンに行って、「海外で仕事したい欲」がある程度満たされてしまったことに加え、自分が目指していたのは、「海外で働くこと」ではなく、「人と違う(交換不可能な)環境で働く」ことだったと分かった。加えて、ブログで就活の過程を公開すること自体、けっこうデリケートな話なども含むし、なんとなく品の良いことではないような感じがしたので、普通の個人ブログになっていたが、今ならこうやって書けるので、本来の目的達成してやったり、という感じである。(しかも、フタを開けてみたら、実際海外で働くことになって自分でもびっくりしていたり!)
11 3月
先週鳥取で行われた自然言語処理年次大会(NLP2009)の本会議2日目について書きます。
意味的類似度を利用した日本語クエリ書き換え
この日のポスター発表では、去年の夏にMicrosoft Researchで取り組んだ「意味的類似度を利用した日本語クエリ書き換え」のプロジェクトについて話してきた。この話については、去年の9月に熱海で行われたNLP若手の会(YANS)の第3回シンポジウムで一度話しているが、実験で若干の修正(改善)があったことと、全国大会での初のお披露目、という意味でもう一度あらためて発表したものだった。
クエリ書き換えは、実はちゃんとやろうとするとけっこう難しいタスクであり、しかも自然言語処理の様々な要素技術を使う。今回のプロジェクトも実はかなり大規模で、雑音のある通信路モデル、nグラム言語モデル、翻字、一般化編集距離、分布類似度、ブートストラップ、グラフカーネル、最大エントロピー法、etc. etc.と、これはもはや「自然言語処理のデパート」だ、と自分で勝手に呼んでいるぐらい色々な話が入っているので、それを全部説明すると聞く方も話す方も退屈してしまう。
そのため、前回の反省を踏まえて「いかに多くの人にプロジェクトのことを知ってもらうか」に注力して話してみた。他の研究室の学生さんと話していて、そもそもMSRでインターンができることを知らなかった、という話もあったので、インターンの宣伝も兼ねている。詳細はばっさり切ってシステムの概要だけ説明して、必要に応じて詳細に踏み込む、幅優先探索的な戦略。この成果もあって、共著のhisamiさんと手分けして並列に説明したのでかなり多くの人にプロジェクト自体を知ってもらえたように思う。多数の質問コメントありがとうございました。
ここで話した内容のポスター(及びブースターセッションのパワポ)はNLP若手の会のサイトから見られるので、よかったらどうぞ~
そういえば、クエリ書き換えと言えば、NY大関根先生の株式会社ランゲージ・クラフト研究所のページに面白いスペルミスを集めたミススペル 109例というページがある。一見どこが間違っているかよく分からない例もあって見てるだけでも面白いが、どれもこれも検索エンジンのクエリ誤りとしてはありがちだと思うので、これからスペル訂正システムを作ってみる場合には、「とりあえずこの109例が正しく直せるか?」というのをベースラインにしても良さそうである。CoNLL shared taskにしろ、同義語獲得でよく使われるTOEFLの同義語判定50問にしろ、こういった手軽に使える共通のベンチマークがあると研究も俄然盛り上がるような気がする。
ちなみに、今回のプロジェクトでクエリログをけっこうな量眺めたのだが、面白かったスペルミスは「You Tube」のスペルミスで「Юチューブ」というもの。この「Ю」はハングルではなく実はキリル文字で/ju/の音を表すものらしく、おそらく「ユーチューブ」を入力しようとした時にロシア語のIMEがONになっていたため入力されてしまったと想像される。発表では「You Tube」のスペルミスだけをたくさん集めたものをばーんと見せて「クエリ訂正がいかに重要か」ということを理解してもらえるよう努めたのだが、しかしまあ検索エンジンのユーザーというのは(自分も含めて)色々な間違いをするものだなぁと感心する。
頭語構造の特長を利用した上位下位関係辞書の拡張
(NICT 山田さん他)
他に1件だけ、面白かった発表を紹介(ほかにも面白かったものはたくさんあった)。
この発表では、Wikipediaから収集して構築した語の上位下位関係辞書に対して、Webテキストから収集した語を追加して拡張していくというタスクを扱っている。上位下位関係辞書は、関係を繋げていくと「語彙体系」とよばれる木構造になるが、Webから獲得した語をその語彙体系のどこに追加していけば良いかを求める、というのが手法の本質部分。
簡単に言うと、Webから収集した文脈に基づく「分布文脈類似度」から求めた潜在クラス分布を用いて最も似ている節点を求めて、その上位語にくっつける感じ。この上位語の求め方も、単純に一番似ているものを取ってくる方法から、似ているものを複数取ってきて、その全てを総合してスコアリングして尤もらしいものを取ってくる方法まで試されていて、広範囲を見て総合的にスコアリングして求めた方が性能が高いそうだ。
質疑応答でも質問があったが、この方法を聞いて思い出すのがRion SnowのCOLING/ACL 2006の論文で、こちらでは、文脈類似度と上位・下位関係分類器の出力など、「複数の情報源からの手がかりに基づいた語彙体系自体の確率」を最大化するように新たな節点を追加している。まず上位下位の語彙体系を構築してそこに追加していくという2段階ではなく、その両者を考慮して語彙体系を(ゼロから、もしくは核から)むくむくと成長させてく感じで、よりスマートに思える。両者の比較もぜひ見てみたい。
あとは、文脈類似度を求める時に使っている潜在意味モデルがどう見てもPLSIと本質的に同じなのだが、そこへの言及が無かったのは残念だった。この部分は、ぶっちゃけ単純なBoW+ベクトル空間モデルでも類似度が出せるので、今回の話の本質ではないのだけど・・・。
ちなみに発表者の山田さんは、自分の研究室のOBということで少しお話させていただいたのだが、同じ系統の研究をやっている身としてもっとゆっくりと時間をとって議論できたら良かった。
2 9月
イタリアに留学して服飾デザインを学んでいる友人akira-iと話しててよく話題に上るのだけど、自分ら研究者(の卵)やらデザイナーやらは、作品(論文や服)を制作して世に出してその反応を問うのが大事な仕事である。こういうクリエイティブな仕事をしている人なら分かると思うが、こういう仕事は実は根底のところの共通点が実に多い。
ある「作品」を世に出したときには、「出す前の自分からの評価の高低」と「出した後の他人からの評価の高低」の組み合わせに4つのパターンがあることに気付く。つまり、
1.「これはいける」と思って、やっぱりウケた場合
2.「これはいける」と思ったけど、実際ウケななかった場合
3.「これはいけない」と思ったのに、なぜかウケてしまった場合
4.「これはいけない」と思って、やっぱりウケなかった場合。
1.と4.に関しては場合問題無い。自分のクリエイターとしての判断が正しかったことの証明である。2.は世間一般には「失敗」と呼ばれていて、適度な失敗はモチベーションを刺激する上でも非常に良いことである。3.は逆に注意が必要で、結果は良くても、多くの場合まぐれか自分の判断ミスである。自分を天狗にさせ、センス判断の「閾値」を下げることになる。これが特に若いうちの予期せぬ成功が人をダメにすると言われるゆえんである。特にまだ若い内は、2.のケースが多めに、なぜ自分が認められないのか、と少しハングリー気味(中二病的とも言う)に仕事に邁進したほうが結果うまくいく。
なんて、まぁこんなことを悶々と考えていたのもEMNLP落ちたからなんですけどね。こんなに悔しい不採録通知は初めてだ・・・。author responseのシステムの問題点も見えてきて、色々と言い訳したいのは山々だけど、ここは正直に認めて次でリベンジしたい。
18 8月
最終週になって、出張などで週の終わりには出かけている人などと、たぶんこれで会うの最後だから、と言って別れの挨拶をしていたりすると、あぁついにインターンも終わるんだと実感する。ドキュメントやコードの整理をはじめ、やることは依然として山積みなので、ゆっくり感傷に浸っている暇もない。論文提出後の最後の2~3週間ぐらいは夜は早めにアパートに帰ろう思ってたものの、結局提出前とあんまり変わらない時間に帰宅していたりする。
最後の週末に、ルームメイトのAlexと別れの時がきた。彼は自分より1週間遅くインターンを始めたが、自分が2週間休みを取ったため結局1週間早く終わることになる。ヨーロッパに行ったときなど、きっと連絡することにして再会を約束しながら見送る。アパート全体を自由に使えるのは良いのだけど、この巨大なアパートに一人というのはどこか寂しい気もする。そして(ありがた迷惑だが)冷蔵庫に大量に食材を残して行ったのでそれを処理したり。最初に出て行く方は気楽なもんだ。でもBraunschweigerとか初めて食べたけどけっこうウマい。
Teriyaki
どうでもいいことだけど、シアトル周辺には妙に「Teriyaki」レストランが多い。ランチで一緒に行くメンバーも行く先のカフェテリアもだいたい決まっているのだけど、最終週のある日、時間も遅いし、道の向こうに警察が立っていてヘタに道路を横断できないということで、MSのキャンパスの南のはずれにあるTeriyaki店へ。アメリカでは、肉に醤油ベースで日本風の味付けがしてある料理ならなんでも「テリヤキ」である。なのでスーパーに行くと「テリヤキ・ソース」やら「テリヤキ・ビーフジャーキー」などの変テコな食べ物が売ってる。「本当はテリヤキていうのは調理法を差す言葉で・・・」ってちゃんと説明してみる。「確かに日本に行った時もテリヤキなんて名前の料理は無かったな」とBob談。そりゃそーだ。
同じアメリカでも、前に行ったカリフォルニアと比べてみると、地域によって店などの分布がけっこう違って面白い。シアトルのダウンタウンでは、「ほぼ1ブロックに1つずつスタバがある」「スタバの店内から隣のスタバが見える」というのは有名な話で、誇張が入ってるがあながち嘘でも無いのだけど、逆にアメリカで定番のWalmartを1度も見なかったのは不思議だ。誰かが「スタバの密度とWalmartの密度は反比例するんだよ」と冗談で言ってた気がする。一方でQFCというスーパーマーケットがけっこうたくさんあって、あまりに多いので地元の人はてっきり全米展開してるもんだと思ってるそうな。一つの地域だけ見て「全米」に一般化してしまうのはちょっと危険だ。
最終日
最終日には、ちょっとしたお別れパーティーを兼ねて、会議室を予約して日本茶を飲みながらダベるお茶会みたいなものをhisamiさんが企画してくれる。今回のインターンでは、正式なFinal Presentationをやってない(プロジェクトについて小出しに話す機会がたくさんあったし、そのせいもあって周りの人はだいたい何やってるか知ってる)のでこのような機会はありがたい。MSRでは、その月の最終金曜日には「Wine Down」というイベントがあって、1階のロビーで無料の食事とワインが提供されるので、月の最終金曜日の午後3時頃からはもう仕事する雰囲気ではない(一方かわいそうなインターン達はワインを横目で必死にデバッグしてたりしてるが・・・)。そのせいもあってけっこうお茶会にも人が来てくれてちょっと嬉しい。
会の終わりに、みんなで写真を撮るのはどう?と提案してみたら、あっさりとOKだそうで、MSRの建物の階段のところで並んで記念写真。このあたり、会社の中で写真を撮ることはもってのほか、カメラを持ち込むことさえ気軽にできないGoogleとはえらい違いである。
お茶会の後は、コードやドキュメントの最終確認。帰国した後はコードを見ることすらできなくなるので、プロジェクトの今後のためにもここでしっかりやっておくのが重要。合間をぬって、お世話になった人に挨拶しに行ったり、逆にオフィスまで挨拶に来たりしてくれる人も。最後には、自分とおなじオフィス(インターン用の4人部屋)で仲良くしていたSaraとJasonにお別れをする。オフィスの4人、インターンの後半では、昼休みの時間をスケジューラでブロックしてまで一緒にランチに行ってたぐらい仲良かったので名残惜しい。境遇も似てるので色んな話を一緒にしたものだが、きっとどこかの学会で会えるはずなので(直近ではEMNLP08)、お互いに今後の健闘を祈りつつオフィスを後にする。
隠し部屋
その後はhisamiさんに食事に連れて行ってもらった後アパートへ。色々と借りていたものもあったので、自分が新たに買ったもモノも含めてごっそりとお返しする。MSRのインターンに代々伝わる和食キットについては、ここで前にも書いたしmamoru-kさんのブログでも何度か登場していたが、それにさらにドライブ地図セットやら自転車用の空気入れ+ヘルメットやら色々なものが加わり、キットの規模がさらに増している。そのまま来年のインターンに残してくれるそうなので、こういう日用品の調達にあまり悩まされずに研究に没頭できるのはうらやましいかも・・・。
アパートのガレージに車を入れている時に、奥に見慣れないドアがあるのをHisamiさんが発見する。開けてみるとなんとそこにはもう一つの見知らぬ部屋が。こちらは入り口とは逆の通りに面した部屋で、これもこの巨大なアパートの一部らしい。というかAlexと二人で3ヶ月間住んでて誰もこの「隠し部屋」の存在に気付かなかったのはかなりマヌケな話ではあるが、それにしてもこのアパートの広さはやはり尋常じゃない。通りに面しているのでこの部屋をちょっとしたオフィスに改造して商売でも始められそうな感じ。帰国後焦ってAlexに報告することにする。
出国
最終日の次の日にはもう出国の日である。今回取得したJ1ビザでは、プログラム終了後も1ヶ月以内ならアメリカ国内に残って観光などができるが、日本時間の次の月曜に間に合うためには、やはりアメリカ時間で土曜のうちに出発しておきたかったのだ。
帰りはEstrellaがアパートから空港まで送ってくれる。彼女は最初はチューターとして、craigslistで適当に見つけて時間いくらで英語の練習に付き合ってもらってたのだが、話も合ってだいぶ仲良くなったので、後半は英語の練習関係ナシにランチに行ったりディナーに誘ってくれたりしてたのだった。帰国後もコンスタントに週1でSkypeで話したりして、間違いなく今回のインターンにおけるキーパーソンの一人である。最後にお互いともに少しウルっと来てしまうような別れって、人生で何度もあるものでもない。
(ちなみに彼女、ESLの経験豊かだしとても良い先生なので、英会話力の向上などでもし困ってて興味がある方がいたら言ってくれれば紹介します)
結局、荷物を別便で日本に送るのが面倒だったので、不要なものをけっこう捨てたり人にあげたりした割にはチェックイン荷物がとんでもない量になる。スーツケースも大きかったのであっさりと重量オーバー、”Very Heavy”のタグをつけられて50ドルの追加料金を徴収される。シアトルの気候が予測できなくて服が大量になったのが最大の敗因なので、インターンに来るときはファッションについては多少目をつぶらないといけないと思った。
帰国後
帰国1週間後、研究室でのミーティングでさっそく「MSRインターン報告」と題してプロジェクトの内容をプレゼンする。最初から最後まで通して説明するのは初めてだし、スライドも全部書き下ろしである。ずっと英語で考えてきたプロジェクトを日本語で説明するのはけっこう骨が折れるが、遅かれ早かれ必要になるので訳語をウンウン考える。
今回のプロジェクトは研究ネタとしては「狭く深い」というよりは「広く浅い」話なので、例をたくさん交えながら、モデルの難しいところも数式をなるべく出さずにさらっと流す(数式を著書に1つ加えるたびに売り上げが半減する、と言ったのはスティーブン・ホーキングだったか)。対象が日本語だし例が身近なので、研究室の皆さんも楽しんでくれてたようでよかった。この話、今度9月の第3回NLP若手の会でさっそく発表する(採択通知をいただいた)ので、また濃ゆい議論ができるのが楽しみである。
9 8月
今さらですがマイクロソフト・リサーチでのインターンシップ最終週を紹介。EMNLPのauthor responseも書いたし、明日から休暇で青島まで4日ほど行ってきます。
MindNet
MSRのNLPグループでのプロジェクトの一つにMindNetというものがあって、このプロジェクト自体、NLPグループ設立初期のころからあるけっこう古いものである。ずっと前にたまたまランチでその話題が出たときに、自分の興味と近いので興奮して話を聞いてたら、ミーティングとして時間を取ってプロジェクトについて紹介してくれることになった。lucy-vとbill-dがプロジェクトの概要からデモまでをざっと話してくれたので、興奮してインターンのHoifungと一緒に質問しまくる。もう最終週で機会が無いということで2回目の機会まで用意してくれて本当にありがたい。
実は自分がMSRのことを始めて知ったのもこのMindNetがきっかけで、数年前の言語処理学会全国大会(@高松)でhisamiさんが発表しに来てた時に遡る。そのときは研究の右も左も分からないM1だった気がするが、同義語抽出の話と関係があるので果敢にも質問しに行ってた。このときに既に「この人たちはすげえ」と感動して、研究室に戻ってから興奮気味に論文を紹介していた記憶があるけど、まさかこんな感じで中で一緒に仕事ができるなんて夢にも思わなかった。
インターン最終日にはlucy-vが用事があるということで早めにお別れの挨拶。MindNetに興味があるなら自分にプロジェクトを設定しておいてあげるから来年も来なよ、と言ってくれてちょっと嬉しいけど、「いや実はもうPh.D.最終学年なんですけど」って話する。そういえばまだ言ってなかった。後は就職の話とか。もう1年あったらインターンでまたぜひ来てみたい。
クルージング
月曜にはインターンのイベントでクルージングがあるというので行ってくる。バス4台分ぐらいのインターンがみんな3階建てぐらいの巨大なボートに乗り込み、Lake Washingtonの湖岸を湖側から見て回るというもの。本当は他に行きたいトークがって迷っていたのだけど、結局色々な人とたくさん話せて来てよかったと思った。同じグループのインターンのYiが同じくPh.D.の最終学年なので進路について色々と相談したり。彼は「ポスドクでヨーロッパを転々としたい」って(半分)冗談で話してたけど、けっこう魅力的な選択肢かもしれない。
クルージングの目玉はビル・ゲイツ邸を湖側から見るところで、わざわざボートを止めてガイドの人が説明してくれる。ビル・ゲイツ邸については、「地上で見える部分より地下に隠れてる部分の方が大きい」「美術品の個人ギャラリーが地下にある」「セキュリティをN人も雇ってる」など色々な噂(都市伝説)を既に聞いていたのでちゃんと説明が聞けてよかったかも。
今年からビル・ゲイツ氏は会長職を退いてしまったので、毎年恒例の「ゲイツ邸でのインターン向けBBQパーティ」はナシ。代わりにこうやって家を見れたり、あとスティーブ・バルマーに会える!みたいなイベントもあったのだけど、こちらは知る限りインターンは誰も行ってなかった(笑
最終週末
最終週の直前の週末が、インターンの実質的な最後の週末になる(本当に最後の週末は移動で全部潰れる)金曜にはCharlieが会社まで迎えに来てくれたので、Visitorとして会社内を案内する。その後は2人でVisitor Centerまで行く。マイクロソフトでは来客用に「Visitor Center」と「Company Store」が一緒になった建物があって、会社に関する展示を見たり関連グッズを買ったりできる。でも正直Visitor Centerはあまり面白くないので、これから行く人にはオススメしない。XBoxで遊ぼうにもコントローラーの電池が切れてたり壊れてたり。無料なのであんまり文句は言えない。
その後はESLの先生としてお世話になっているEstrellaの家に招かれてディナー。彼女の家、Shorelineからさらに遠いMukilteoにある。この変な名前の都市、ネイティブ・アメリカンの言葉が語源だそうで、発音しようすると今だに噛むのだけど、位置としてはLake Washington沿いのWidbey Islandのちょうど対岸にある絶景スポットである。Lake Washingtonの向こうに沈んで行く美しい夕日を眺めながら3人でおいしい食事をいただく。疲れてた割には話も盛り上がって家に着いたら12時を回る。最後の週末としては申し分ない。もうこの地域を離れなきゃいけないと思うと本当に名残惜しい気分である。
続きはまたお盆ぐらいに更新します。
31 7月
日本に帰ってきてから日記を書くのもアレだけど、せっかくなので。記憶も少しずつ薄れそうなのでダイジェスト気味に。
ミーティング
9週目の終わりに論文を提出してからはインターンは第2フェーズに入る。論文提出までに実装できなかったところや、実際にシステムをプロダクトで使ってもらう上での実装などを進める。問題を解けば解くほど、また新たな問題が出てきたりしてやりたい事がどんどん増えてどんどん面白くなっていく。実はインターンの期間を延長できる「裏技」があってぜひ使いたいのだけど、自分みたいに外国から直接来てる場合はビザの問題があって無理だそうで。もしプロジェクトが面白いという理由でどんどん延長できたら、いつのまにか1年とか平気で経ってそう。MSRはそういう環境である。
自分のプロジェクトに関するミーティング(少人数)がぼちぼち増えてくる。MSRで「ミーティング」というと、グループの人がみんな集まって話し合う会議的なものから、2人~3人が誰かのオフィス(=個室)に集まってブレストしたりするただの集まり的なものまで実に多様で柔軟である。キッチンや適当なスペース見つけてダベる場合もある。これまでは聞いてるのが中心だったけど、少しずつ参加の割合が増える。けっこう疲れる。
コードレビュー
書いたコードとシステムを、レビューと説明を兼ねて他の社員の方に見てもらう。自分がこれまで実装でウンウン悩んで工夫したところをすらすらと理解してもらえてやはりすごい。インターンが終わるとコードを書いたり見たりできなくなるので今のうちに誤解が無いように全てドキュメント化。大量になる。
提出した論文も、これまで議論に付き合ってくれた人に読んでもらってコメントをもらったりする。インターンのAriaもわざわざ時間を取ってフィードバックをくれる。今から考えると、ああした方がもっとよかった、この手法も試したい、というのが色々出てくるのだけど、これまた全部試していると気付いたら1年とか平気で経ってそうで怖い。もちろんやる価値は十分にあると思う。
もう一人の日本人社員のtakako-aさんと色々お話する機会があったので、時間を取ってお互いのプロジェクトを紹介し合ったり、他の人にプロジェクトについて話したり。ここのグループの人はほとんどがMTをやっていて、そちらにも色々と貢献できないか模索したり。気付いたら1日の半分以上人と喋っていて社員の人がみんな帰った後に夜な夜な実装を進めてたりする。こういう時にやっぱり自分は何かを作っているのが好きなんだなと身に染みて実感する。人と話してるのも楽しいけど、やっぱりウンウン考えたりコード書いたりするのが好き。きっと両者のバランスのあるところで幸福度(とパフォーマンス)が最大になる点というのがあって、それは人それぞれ最急勾配法的に探すしかないんだろうな。
そういえば今年のEMNLP08ではauthor responseというのがあるらしくて、始めての体験なので勝手が分からず戸惑っていたのだけど(AAAI, ICML, NIPSなどの学会では普通にあるそうだ)、そういえばグループのchris-qがArea Chairだったので聞いてみる。以下のページに書いてあるように、
“The author responses seem useful for clearing up misunderstandings; for addressing reviewers’ questions or confusions (indeed, reviewers can even pose explicit questions for the author response to answer); and for keeping reviewers honest (because they know that the author will flame a shoddy review).”
どうやら査読者が勘違いをしてた時に反論したりするために使うもので、おそらくaccept/rejectのボーダー付近以外のほとんどの論文には影響を与えないんじゃないかということ。ちなみに上のページ、それ以外の内容もけっこう面白いので、会議やワークショップの委員やってる人は読んでみるといいかも。
週末
週末はhisami-sさんの家で2回目のバーベキュー。また色々な人に会えて料理もおいしくて楽しかった。親戚の集まりとかもそうだけど、子供が混ざると空気が和んで会話も弾む気がする。けっこう最近買ったというアップライトピアノを弾かせてもらったのだけど、1年以上88鍵のピアノもキーボードも触ってないのでレパートリーが頭から完全に抜けてる。下宿には置きづらいけどKeystation 88esあたりの88鍵コントローラーでも欲しくなるなぁ。。。
potluck形式なのでバーベキューで焼けるものを色々と持っていったのだけど、他の人達も色々と持ってきてくれたので結局けっこう余って持ち帰ることに。余った鶏肉を一人で食べようと(ルームメイトのAlexは肉をあんまり食べない)火にかけていたら、Skypeで長電話している間に完全に焦がす。そろそろ最終週に向けて食料を計画的に消費しないといけない。ちょっと切なくなる。
日曜は少し遠出してLake Union沿いのGas Works Parkまで連れてってもらう。そもそもここに来たきっかけが、けっこう前に有名になったYouTubeの動画、”Where the hell is Matt?”:
Where the hell is Matt?
http://www.youtube.com/watch?v=bNF_P281Uu4
の2008年版の
Where the Hell is Matt? (2008)
http://www.youtube.com/watch?v=zlfKdbWwruY
をインターン中に見つけたからだった。両方ともシアトルで終わるのでどうしてだろ?と思ってたら、このMattさん、シアトル在住のゲームクリエータだそうで、2つ目の場所は友人のCharlieに聞いたらGas Works Parkだそう。Lake Unionの対岸に、シアトルのダウンタウンやBoathouse(その名の通りボートを改造した人が住める家)が臨める絶景の場所だった。シアトルに来たら一度はここに寄ってみんなでダンスを踊ってみると楽しいかもしれない。
17 7月
EMNLP
MSRのインターンで取り組んだ成果は、論文などにまとめて外部で発表するのが普通。今回こちらに来てちょうど9週目に国際学会の締め切りがあるので、それに向けてのラストスパートがスタートする。思えば、締め切り1週前からテストセットを作り始めるという強行スケジュール。前書いたようにいくら MSRで仕事がはかどるといっても、今週はさすがに休日出勤をしてしまった。Googleのインターンのときは、たまに休日出勤して無料の食事やマッサージチェアーやビリヤードを楽しんでいたのだけど、今回はちょっとわけが違うな。でもドリンクが無料なだけでもやっぱり助かる。
実験環境もかなり強力なのを用意してもらって、少なくとも日本で自分の研究室で使える以上の資源をふんだんに使えるのではかどる(ウチの研究室はサーバーなど計算機資源はあまり充実していないけど、その分使う人も少ないので1人あたりで見たらけっこう贅沢だと思う)
自分がかなり早期(4月)に来たので、ほかのインターンで今回の会議に出す人は誰もいない。自分も、締め切りがあと1週間早かったらたぶん無理だったと思う。大学でやってる研究の内容で出すインターンは何人かいて、そういう人たちは昼間はMSRの仕事をしてアパートに帰ってから大学の論文書きを進めたりしているそうで大変そうではある。MSRの仕事だけに集中できる自分はそれだけでも恵まれてるのかも。
昼は、グループの人がランチに誘ってくれるのが多いのだけど、ここ数日は実験中でちょうどタイミングが悪かったりで、毎回断り続けなければいけないのがつらいところ。結局は後からインターンどうしで連れ添って行こうか、って感じになるんだけど。ミーティングを途中で抜けたりして、自分が必死にしているので、その話を知ってるほかのインターンに会うたびに心配されたり。大学で一人で実験やっているよりも孤独感が少ないのが救い。
EUROCUP
MSでは、基本的に各棟に1つずつカフェテリアがある。自分のオフィスがある棟にも1つあって、隣接している棟がいくつかあるので、少なくとも3か所はお昼食べるところのチョイスがある。車に乗せてもらって外のレストランに行くこともしばしば。
いつもグループの人と行くところはだいたい決まっているのだけど、同じ部屋のJasonがサッカーが好きで、EUROCUPの準決勝が見たいというので、今回は液晶テレビの設置してある別の棟のカフェテリアに足を向ける。MSには数えきれないぐらい建物があって(Building番号が3桁まで行ってる)違う建物に行くと雰囲気もカフェテリアのメニューも全然違って楽しい。
EUROCUPの試合はアメリカ時間のちょうど昼で、同じ目的の社員がたくさんカフェテリアに集まって、ランチもそこそこにテレビにくぎづけ。でも、なぜか衛星中継の調子が悪くて、映像が何度か途切れてスタジオの解説者に戻ってしまう。そのたびに周りはブーイングの嵐。映像が戻ったと思ったら点が入ってたり。どうやら油売ってないでさっさと仕事に戻れということらしい。
論文書き
郷に入っては郷に従え、MSで論文を書くといえば基本的にはWordを使う。別にTeXを使っても良いそうだけど、結局ライセンス関係とか環境設定などが面倒だし、回りの人もWordで慣れてたりして、最終的にはWordを使うことになった。
Wordで数式を書くなんて何の拷問だ!?と最初は思ったものの、実はWord 2007から数式環境が一新されたようで、あの悪名高い「数式エディタ」を使わなくても楽に数式が編集できるようになっている。しかもTeXスタイルのコマンド(\sumでシグマとか)がけっこうそのまま通るから、マウスでツールバーからポチポチ選択しなくても素早く書けるし、見た目もTeXで書いたのと同じぐらい綺麗なのでWordも捨てたもんじゃないとおもう。
Wordの利点は添削機能が使えるところで、自分の書いたところをhisami-sさんに直してもらうとその結果がすぐに見えて、Accept/Rejectするだけで反映されるのが良い感じ。特に便利だと思ったのが、
自分も添削機能をONにして書き進めると、どこを直したのか差分が一目瞭然なところ。大学で先生に見てもらうときは、わざわざTeXをコンパイルしたのを印刷して、差分にマーカー引いて持っていって、先生の添削は赤で紙に直接書かれて返ってくるので、それを見ながらソースをぽちぽち直して・・・ってやってるのがかなり非効率に思えてくる。
提出
そんなこんなでなんとか締切前に論文を提出。締め切り前1日だけ実験に苦戦して日付変更線を越えてしまったことがあったけど、それでも毎日必ずアパートに帰って睡眠を6時間は取れる実に健康的な生活ができた。というか、アパートに帰るための終電ならぬ終バスが12:30ぐらいだし、夜10時を過ぎると30分に1本とか不便になるのである程度の時間で切り上げて帰らざるをえない。メンターのhisamiさんも夜7時ぐらいでさっさと帰ってしまうのも逆に密度を上げる要因になっていて助かる(大学で締め切り前だと先生が夜中とかまで付き合ってくれて逆に申し訳ない)
ワシントン大学
EMNLP08の締切が終わると、翌日からIndependence Day(7/4)で3連休。明らかにこれを狙って締切が設定してあるのだけど、論文提出直後の3連休ということで気分は最高。
英語の先生伝えで友人Charlie(ワシントン大学(UW)の1年生)を紹介してもらったので、初日はUWよりも北にあるShoreline付近まで行ってランチ。UW、近いこともあって、インターンが多数来てたり、共同でシンポジウムがあったりしてマイクロソフトとも縁が深い。ここら辺の人は誰もUniversity of Washingtonなんて呼ばずにUW(you-double-youじゃなくてyou-dubと発音する)って呼んでる。大学は大きくて、キャンパス一帯University Districtと呼ばれていていかにも大学生街というとても雰囲気の良いところなので好き。そのあとはRichmond Beachの辺が景色が良いというので車で連れてってもらう。夕焼けが特に綺麗だそうで写真家の絶好スポットになっているそうな。
日本食
やっと時間も取れて今回は自分の番だということで、3連休2日目はルームメイトのAlexに日本食を振る舞ってあげる。最寄のスーパーでは日本食というと醤油と豆腐と寿司とキリンビールぐらいしか売ってないので、会社の南にあるUwajimaya(宇和島屋)というアジア食材屋までバスで出かける。ドイツ人に振る舞う日本食といえばやっぱり肉じゃがでしょう(前回Alexもじゃがいも料理を振る舞ってくれた)、とメニューは思い立った日から心に決めていたので、必要な食材をかき集めてバックパック一杯の材料をかかえてアパートに戻る。けっこう久し振りに真面目に料理すると割と楽しい。
結果は上出来で、ここまで喜んでもらえると作った甲斐があったなと思う。「こんなに美味しければGoogleでシェフとして働けるよ!」と本人談。「ソフトウェアエンジニアじゃないのかよ」と突っ込んでおく。肉じゃがに入れた糸こんにゃく(しらたき)に、”yam noodles”って書いてあって、おぉなんと的確な訳!と思ったのだけど、そのまま全部説明したら「じゃあこれは日本のじゃがいも・ヌードルだ」って納得してた。修正するのに必死。英語で「煮物」という概念を説明するのはけっこう難しい。
その後はしばしロシアン・ティー(紅茶にジャムを入れるんではなくて、ただ単にジャムをお湯で溶かしただけのもの)を2人で楽しむ。なぜかAlex と話てると戦争の話になることが多いのだけど(まぁドイツと日本だからね)、そのたびに子供のころに「はだしのゲン」の映画を無理やり見せられてトラウマになったので映画館から逃げ出してきた思い出を話してくれる。今だったらもう一度ちゃんと見たいそうだ。
ハイキング
3連休3日目は、インターン向けイベントで、Mt. Rainer(レッドモンドのはるか南にある富士山より高い火山)にハイキングに行ってくる。今回はバス1台分のインターンが参加。2時間ほどバスに揺られて現地に到着後、軽くハイキングをしたり、昼食を食べたりする。今年の異常気象のせいで山の大部分で雪がまだ残っていて、その後雪の上をぞろぞろと歩くハイキング(Snow Hikeというらしい)を楽しむ。途中で誰かが雪玉をつくって投げ始めて、みんなでいい年こいて雪合戦にヒートアップする。楽しかったのでまたやりたいな。
Microsoft Researchのインターンは平均年齢が高めで、中には既婚で家族持ちや、本国から母親や彼女が来て一緒に住んでる人たちなどもいる。最近オフィスに加わったAlan(from UW)も奥さんを連れてきてたので一緒にいろいろ話したり。こういう休日イベントには家族や友人を連れてきてもOKで、今回はそういう人たちがあまりにも多くてインターンどうしで交流を深めるというよりは軽いツアー旅行みたいな感じだった。バスの中では最近来たインターンのHoifungとずっと話してたのだけど、彼も本国に奥さん+子供がいるそうな。Mt. Rainerには何度か来たことがあるそうで色々教えてもらう。ここにずっと住んでても、きっとアウトドアでやるレジャーに関してはネタ切れの心配はなさそうだ。
11 7月
論文提出などで忙しくて更新ずいぶん遅くなってしまったけど、マイクロソフトでの休み(2週目)をダイジェスト気味に。コロンバス@オハイオで開かれたACLという国際会議に行っていました。
着いた日。
夜10時頃嵐がすごい。ニュース見たらオハイオ上空だけ発達した雨雲。いかにも中西部的な気候。でも週の残りはいたって良い天気。
初日。
昼にStudent Lunchに行く。OSUのPh.D.の人とかと話したりする。自分と同じくStudent Research Workshopで発表するそうな。明らかに学生ではないような人が混ざってる気がするけど、アメリカのPh.D.って日本よりも平均年齢高めなので、見た目で判断するのはイクナイ。
自分のセッション(SRW)。
発表はうまくいった。先週の旭川での反省を生かして、スライドを少なめにしてアドリブ気味で喋ったからかな。hisami-sさんとmasaki-iさんが来てくれる。知り合いに見られるのが一番緊張する。
Panelの人がフィードバックをくれるというのでどんなものか期待していたら、何のことはない、よく座長が質問が出ない時にする想定質問を2~3個まとめたような感じの質問+コメントだった。というか質疑応答の時のアドリブの効かなさを何とかしたい。日本語でやってもたまに意味不明の返答をする時があるので、英語の問題ではないかもしれないけど・・・。
発表が終わったあと、何人か、自分のところに来て”Nice talk!”とか”I’ll keep an eye on you.”とか言って(質問ではなく)くれる人がいてちょっとうれしい。名前聞いとけばよかった。
SRW Lunch
セッションの関係者や発表者で懇親を深めましょうというSRW Lunchに出る。会場近くのアメリカ・レストラン。アメリカの例に漏れず料理がひどくて遅い。CMUやOSUの先生らもいた。あまりにも料理が遅くて、次のセッションに遅れないように料理が着いてからはみんなで黙々と食べる。
Syracuse大のIさんとかCMUでVisiting ResearcherをされているKさんとかとお初する。Iさんは名前とかメールでしか知らなかったのでちょっと感動。
PowerSet
の人がデモやってたのでつかまえて話したりする。技術的なことを聞いてもなんか手ごたえが無い。もっとそれっぽい人を捕まえればよかった。やっぱりビザの関係で、日本から直接のインターンは難しいかもしれない、とのこと。まぁJは大企業じゃないと難しいよね。働きたければアメリカに留学するか、それか正社員でH1Bというコースかぁ。(と思ったそばから、後日MSに買収されるというニュースが。これで自分の中で選択肢から消えたな・・・)
Banquet
学会に来て日本人グループで行動するのはあんまり好きじゃない(Banquetの時に知らない人たちに混ざったりするのが好き)のだけど、今回はそもそも日本人もあんまりいないし、良い機会なのでMS(+R)の人と一緒にごはんでもという流れで日本人グループでBanquetに。研究室のO先生とhisami-sさんが打ち解けてるのを見ると、生みの親と育ての親が仲良くしているのを見てるようで嬉しい。なんか変な例えだな・・。
その後はアメリカのローカルネタで勝手に盛り上がる。夜なのに会場はなぜか動物園。動物がみんな寝てるし、暗くて全然見えない。意味不明。
恒例のACL Presidentのスピーチはハンパ無く面白かった。毎年ウケを取るのがこのスピーチの目的みたいなモンになってて、さらに来年へのハードルが上がった気がする。”ACL Song”, もう1回見たいのだけどどっかで公開してないのかな。
MSRのひと
もけっこう来てる。インターンでもファーストオーサーで普通に発表する。Vivekの発表は(内容もプレゼンも)おもしろかった。彼は毎日夜中まで飲み歩いてたようだけど。ちなみに例の衝撃的な論文の著者Ariaも自分が一時帰国したのと入れ違いで来ている。やっぱりMSRにインターンに来る人はクオリティがハンパ無くて焦る。せっかくなので会社に帰ったあとに色々教えてもらう。
セッション
Lexical semantic acquisition系の発表をかいつまむ。今回は論文の査読回答書の期限と重なってしまって、せっかくなのにホテルで黙々と作業してたり。MSRに来て興味が広がったり新しいことを勉強したりで、これまでよりも軽く2倍の数の論文や発表に興味を持つようになって良いのだけど、そうすると途中でセッションを抜け出して観光に行くとか難しくなるな・・・。やっぱりACLだけあって、自分の興味のあった発表に隣接するものを適当に聞いてもやはり面白い。ハズレが少ないというのか。
クロージング
Area ChairのHaizhou LiさんによるACL-IJCNLP 2009の情報。Liさん、IJCNLPの時にもちょっとお話したけど温和でとっても良い人である。IJCNLPの時にもやってた「シンガポールの位置を知らない人もいるでしょうから・・」って言って地図出すジョーク(?)が今回も炸裂。公式ページにはまだ出てないけど、Full Paperの締切は2/22らしい。来年の会議のころには自分は何をやってるんだろうか。
帰り
はUnited、シカゴ経由でシアトルへ。天候の関係でアメリカ全体的に飛行機が遅れてる。自分の便も1時間ぐらい遅れて、シアトルについたらもう良い時間だったので出社せずにアパートでまったり過ごす。Alexと近況報告(といってもさほど事件も無いのだが)したり荷物整理したり。
ういろう
金曜には出社。ACLに行ってたりそのタイミングで休みを取ってたりで、NLPグループの人がほとんどいない。同じ部屋で仲良くしているSaraとJasonに日本から買ってきたおみやげ(名古屋の青柳ういろう)を渡す。日本人でも賛否が分かれる可能性のあるういろうなので心配してたけど普通においしいと評判。そのまま説明すると”Sweet Rice Paste”とかになるのだと思うけど、それだけ聞くと全然おいしそうじゃないな。Saraはそれ以来”Candy”って呼んでたけど、英語だと固形の甘いお菓子はチョコレートもキャラメルも全部ひっくるめて”Candy”なのであながち間違っていない。
週末
友人伝いで知り合ったBruceの家におじゃまする。Lake Sammamish沿いは自然が多い閑静な住宅地という感じでとても好き。天気も良いし、EMNLPに向けてラストスパート前の静かなひととときをしばし楽しむ。
11 6月
今週に入って、NLPグループにも新たに2人のインターンが入ってきた。もうわざわざ書くのも面倒なくらいだけど、今年来る予定の人数は聞いていたので、だいたい出そろった感じである。
インターンが多く入って来て面白いプロジェクトが色々と回っているので、lucy-vがミーティングを新たに企画してくれた。関連あるプロジェクトに関わる人があつまって、インフォーマルな感じで情報交換する。
とりあえず集まって自己紹介などをした後、とりとめなく喋っていると、自分がインターンの中でも一番プロジェクトが進んでいるので、現在やってることを即興でプレゼンすることに。社員の人と個別にミーティングしたり何やってるか話したりすることはよくあったのだけどこうやってある程度の人の前で紹介するのは初めてである。といっても、プロジェクトの、今回の聴衆に興味のある部分はhisamiさんが主に担当しているのでその話でほとんど終わる。正直自分が全部話せといわれたらできた自信が無い。
Company Store
今週が終わった段階で一度日本に帰るので、おみやげを調達するためにCompany Storeに行ってくる。この購買は、マイクロソフトの社員用+来客用に、マイクロソフト関連のグッズや、ソフトウェア、書籍などを売っていて、とくに社員とインターンは割引されたソフトウェアを買えるのが目玉。これがハンパ無く安い。ついつい買いすぎてしまう。
本当は家で遊ぶ用にXBox360が欲しかったのだけど、ソフトウェアと違ってハードウェアは割引が無いし、どうせソフトにはリージョンコードがあるし、(文字通りの、外)箱がでかすぎるので今回は見送りに。インターン終わる直前に買って郵送してもいいけど、それなら日本で買ったほうがいいな。
今週はIce Cream Socialというインターン向けのアイスクリームを食べまくるソーシャルイベントがあったが、気候の変化がまた激しくて気温があまりにも寒いので、代わりにクッキーやケーキやらを食べまくるイベントに変わった。といっても、実装のほうで手いっぱいでそれどころではなかったので、同じく「変なバグが潰せない」と嘆いていてそれどころじゃないJasonと一緒に食べ物だけをかっぱらいに行ってくる。同じ目的のインターンもけっこういて、やっぱり相変わらず全然Socialではない。
レンタカー
MSのインターンは、インターン中の通勤手段として、自転車プラン(自転車購入代を会社が援助してくれる)かレンタカープラン(レンタカー代を援助)かを選べる。レンタカープランを選んだわりには、「車を使う場面がない」といってこれまで借りてなかったルームメイトのAlexが先日ついに車(HyundaiのSonata)を借りてくる。先日、ランチでワシントン州のドライブの話が出たついでに、そのまま盛り上がってhisamiさんが色々と教えてくれて、ワシントン州のドライブマップとかガイドブックやらを貸してくれたので(感謝!)、インターン後半でドライブ旅行に行ってみようかと計画する。この「ドライブキット」も「和食キット」と同様に、来年来る人用に残して日本人インターン間で継いでいったらおもしろいかも。
一時帰国
木曜には、提案手法の有効性に対する定量的な結果もぼちぼち出てきて、週末に帰国する直前としてキリの良いところで落ちつく。金曜はミーティングやら買い出しやらでゆっくり実験しているどころではなかったのでちょうど良い。そのまま帰って、アパートに置いていくもの、日本に持って帰るもの、引き続き使うものをうんうん悩みながら選別して荷造り完了。土曜にシアトル・タコマ国際空港(Sea-Tac)まで、借りたばっかりのレンタカーでAlexに送ってもらう。土日は道が空いているし、RedmondからSea-Tacまでの道も簡単なので何の問題も無く到着。Alexはそのままシアトル散策に行くそうな。
飛行機の中では空港の売店で買ったRandy Pauschの”The Last Lecture”を読む。人前なのに何度か目から変な汁が出そうになる。家でひっそりと読めばよかった。このThe Last Lecture、たつをさんも書いてるけどYouTubeやGoogle Videoで実際の一時間半の講義全部が見られる。オススメはGoogle VideoにあるClosed Caption付きバージョン。あとで何度も見直したい。
帰りの便では、手違いで用意された朝食が足りないというトラブルに遭遇。アテンダントが謝りに来て、$10分のクーポン(マイルにも換算できる)をもらったのだけど、その後、ビジネスクラスのほうで余分があったらしくて、機内食だけグレードアップされた。クーポンも既にもらっているので、両方もらっていいの?って聞いたらOKだそうで、なんか得した気分である。でもアップグレードされた後の機内食も全然おいしくないんだけど・・・。この味なら、アップグレードされる「前」はどんなんだったんだよ、と逆に怖くなる。さすがノースウェスト航空である。
本物のプログラマは蝶を使う
おまけ。会社のMLで昼間っからエディタ戦争が勃発していた。よくある光景。
そこ経由で知ったマンガだけど、思わず吹いたので紹介。
Real Programmers
http://xkcd.com/378/
以下、セリフ訳してみました。
nano?本物のプログラマはemacsを使うんだよ。 おい、本物のプログラマはvimを使うんだ。 おっと、本物のプログラマはedを使うんじゃないか。 いやいや、本物のプログラマはcatを使うんだよ。 本当のプログラマは、磁気を帯びた針と器用な手を使うのだよ。 悪いけど、本当のプログラマは蝶を使うのさ。 手のひらを広げて、繊細な羽をひとはばたきさせるだろ。 するとその空気の撹乱が次第に波及していき、上空の大気渦の流れを変えるんだ。 これが引き金になって、空気の高密度領域が一時的に形成されて、 それがレンズの働きをして、地球に降り注ぐ宇宙線を屈折させる。 最後にそいつがディスクのプラッタ上に焦点を結び、狙ったビットを反転させるのさ。 ナイス。もちろんemacsにはそれをやるコマンドがあるんだけどな。 そうそう!C-x M-c M-butterflyコマンド、懐かしいな。 くそっ、Emacsめ。
そういえば前に見たButterfly Effect、けっこう面白かった。ちょっと悲しい話だけど見終わった後の感じもなんかさわやか。もう一度見たい。
3 6月
インターンの侵略
アメリカの大学はそろそろ夏休みが始まっているところが多いようで、MSに来るインターンの数がとんでもないことになっている。聞くところによると今週1週間で新たに開始した人はウン十人で、オリエンテーションもMS(本社)とMSRとは別開催になった。自分のときは本社のインターンはおろかフルタイム社員と同時開催だったのに。社内の空きスペースの至るところにインターンが配属され、「こんなところで仕事!?」と思うようなところに忽然とオフィスが設置されていて、4月に始めた自分から見たらちょっと気の毒である。
インターン同士で話すときに、インターンの人数を数えるときには「busful(バス1台の)」を使う。「今週はバス2台分のインターンが来たよ!」とか。もちろん、イベントにみんなでバスに乗ってごっそりと移動する様を揶揄した冗談なんだけど。アメリカなんて、長さとか重さとか、時間以外のほとんどの単位がいまだに世界と違うんだから、人数の単位が違っても不思議じゃない。
自分のいるオフィスにもまた一人、Georgia Techから来た Jason(中国人)が配属された。研究グループは違うが、同じアジア人だけあってやっぱりノリが合うしなんとなく気楽。そのおかげで事あるごとに喋っていて研究が全然進まないのが悩ましいところ。ネックは中国語なまりの英語なんだよね・・・。インドなまりの英語は、前にも書いたけど音素が規則的にシフトしていて、対応関係を覚えると比較的聞き取りが楽になるのだけど、中国語なまりは、子音が弱いせいか全体的になんとなく滑舌が悪いような感じで、申し訳ないけどかなり苦手である。しばらくすれば慣れるものなのかなぁ。
逆にルームメイトのAlexとか、デンマークから来た別の人とか、ゲルマン語系を母語とする人たちってなんであんなに英語が流暢なんだろう・・・。(前にデンマークに学会で行ったとき、国民のほぼ全員がほぼ完璧な英語すのにびっくりした)ごくたまに言い回しが不自然なところがあるのだけど、それ以外は、まるでイギリスなまりの英語を聞いてるようでとっても自然。母語との距離が非常に近いからだと思うけど、あれだけ近いと、きっと語学というよりは単に単語の対応関係を学習するだけで済んでしまうんだろうな。うらやましい。
Cirque du Soleil
今週のイベントの目玉は、現在Redmond市内に特設会場が来ているCirque du Soleilのショー「Corteo」をみんなで見にいこう、というもの。良い席を普通に買ったら100+数十ドルしてしまうチケットを、移動も含めて無料に提供するのはさすが太っ腹。結果的に参加したインターンはバス2台分(two busfuls of interns)。みんなで会社のロビー前にわらわらと集合して会場に向かう。行き帰りのバスの中では、なぜか中国人インターンに囲まれる。というか中国人がそもそも多すぎ。バスの2/3ぐらいで中国語が飛び交っていて、アタック25的に自分まで中国語が流暢になりそうな勢いである。
ショー自体はかなり良かった。前にラスベガスで見た「O」とちがって、円形のサーカスの中心にスリット状の舞台があって、そこをシーンが推移していく感じ。観客は舞台の左右に線対称に配置されていて、皆中心を向いて鑑賞する。舞台との距離が近いせいか、「O」と比べてパフォーマンスは控えめだけど繊細でバリエーションが豊か。観客参加型のパフォーマンスとかもあったりして、会場も一体になって楽しめた。終わった後には皆総立ちで拍手。スタンディング・オベーションって自分でやったのは生まれて初めてかもしれない。
問題は、予約してあった席があんまり良くなかったこと。自分の席はまだ良かったけど、中にはカーテンの後ろに隠れて舞台があんまり見えない席もあったようで、後から文句を言ってる人もちらほら。これもまたタダだからあんまり文句は言えない。
週末、研究、COLING
金曜はメンターのhisamiさんの家に招かれて他の日本人社員の方々とバーベキュー。とても楽しい時間が過ごせて素敵な週末だった。今週でインターンシップの12週のうちちょうど半分が終わってしまったわけで、折り返し地点の区切りとしては文句無い感じ。あと1週間後に出張のために日本に帰るので、精神的にも一区切りの感が強い。研究も、提案手法の実装がとりあえず落ち着いて、あとは評価かな。EMNLPに無事まにあえばいいけど。
金曜日、仕事をしている時に気になってメールボックスを開いてみると、COLINGの査読結果が届いている。今回は、共著で出した方がOKで自分ファーストオーサーで出したほうがNGだった。はぁ。日本だと、国際学会の査読結果って、朝起きてメールを開くと届いている感じなので、こうやって仕事中に届くのは新鮮。バーべーキューが終わるまで開かなかったらもっと良い週末が過ごせたに違いない。