春節の中国をゆく(1/3) – 広州・言語編

1/30から2/6までの1週間強、中国で春節(春节; chun1jie2)休暇を過ごしてきたので、3回ぐらいに分けて、文化・風習・言語に注目しながら日記を書いてみようと思う。前回に比べて中国語も(一応)少しは進歩したので、今年は割と余裕を持って色々と見ることができた。色々と新しい単語も覚えたので、自分の記憶定着のためにもところどころに中国語のキーワードとピンインを織りまぜて書いてみた。

目的地は妻の実家、广东省韶关(shao2guan1)市始兴(shi3xing1)县。広東省の北部、内陸部で、湖南省や江西省の省境にも近い、山間の小さな町である。一般の日本人が仕事や観光では滅多に行かない所だと思う(現地で日本人に出会ったことがない)。

行くのは3回目(1回目は去年の春節、2回目は結婚式)で、まずは広東省最大の都市広州(guang3zhou1)の白云国际机场まで成田から行き、そこから高速バスもしくは火车(huo3che1; 汽車)に乗って目的地まで行く。今回は、空港に着くのが遅い時間だったことと、少し広州観光も挟みたいと思ったため、初日に広州にある妻の友人の家に一晩お世話になった。


広州の街は、前回に来た時と比べて、2010年に亚运会(ya4yun4hui4; アジア競技大会)が開かれたのが原因か、かなり街並みや路上が綺麗になった気がする。北京オリンピック、上海万博と同様で、聞いた話によると、政府からの補助金で、住宅を塗り替えたり商店の看板を刷新したりしているらしい。トップダウンで物凄い勢いで何もかも綺麗にしてしまうのはお国柄といった感じである。

広州では、まずは天河区 (tian1he2qu1) にある電脳街に行ってみる。上海の徐家汇(xu2jia1hui4) や 北京の中关村(zhong1guan1cun1) にかなり雰囲気が近い。
中国の大都市の電脳街の基本構造や、出店しているPC小売販売チェーンはどこも同じような感じがする。


ここでは、前から欲しいと思っていた、Android OS 搭載の平板电脑(ping2ban3dian4nao3; タブレット式PC)であるAocos(奥可视) QiPad N12 を買ってみる。日本円で1万円強という安さ。中国では、iPad の発売後から、雨後の筍のようにタブレットPC が出ていて、そのほとんどがOS としてWindows7 や 安卓(an1zhuo2; Android)を搭載している。「iPadのコピー商品」などど侮れなく、多くが深圳(shen1zhen4; 深セン)の会社製だそうだ。このあたり日本のメーカーは本当に後手に回っていると思う。とりあえずしばらくは電子ブックリーダーとして使ってみたい。

その後は、广州购书中心(書店センター)をまわったり。本屋をうろうろしていると最近その国や地方で何が流行っているのかが掴めるので好きだ。中国語教材は今のところ足りているので買わなかったが、子供用の中国語・英語のバイリンガル(双语 shuan1yu3)絵本がかなり充実していて、実はこれらの本、外国人の中国語学習者にかなりオススメである。(「教材は中国で買え」というのは以前に書いた通り

あと、言語マニアの自分として外せないのは、やはり現地の言語・方言事情。広東省南部のエリアは、自分にとって興味の尽きることのない多言語エリアだからである。

まず広州の言語は主に広東語(广东话 guang3dong1hua4 もしくは 粤語 yue4yu3)で、地元の人の第一言語は、香港やマカオと同様、今でも広東語である。もちろん普通话(pu3tong1hua4; 標準中国語)教育が普及しているので、若い人を中心にほとんどの人が標準語を話す。地下鉄のアナウンスも、香港と同じで、標準語、広東語、英語の3言語である。感覚的には、店で物を買ったり路上で道を聞いたりする時は、半々ぐらいの使用頻度のような気がする。中国各地や外国から観光や仕事で来る人が多いからだと思う。

目的地に至る中継地である广东省韶关市でも、第一言語は広東語である。広東語の使用地域・人口はかなり多く、話者人口としても世界の言語のトップ20に入るぐらいで、中国人は皆「中国語」という単一の言語を話すわけでは全くないのである。自分は広東語は全く分からず、標準語からの類推もほとんどできないので、このあたりでは喋れる妻にいつも頼りっぱなしである。

いっぽう、目的地の始兴に着くと、ここでは打って変わって客家话(ke4jia1hua4; ハッカ語)の方言の一種が話されている。中国語の中でも広東語とは基本的に別の方言族で、車で1時間ぐらいしか離れていないのに「山を超えたら言語が通じない」というのがリアルで体験できる。地元の人は始兴话(shi3xing1hua4)と呼んでいるが、この方言がどのぐらいの範囲で話されていて、他の方言とどのぐらい差があるかは自分は分からない。ハッカ語自体は、戦争から逃れて南下してきた客家の人たちの言葉で、広東省・福建省・江西省あたりに話者が分布しているらしい

始兴话を少し教えてもらったが、音節末の内破音(食 = sik)があるのと、有声唇歯摩擦音 [v] があるのが特長だと感じた。広東語よりも標準語に近いので、話を聞いていると何を話しているかが分かる時がある。次に行く時までにもう少し勉強したい(広東語とどちらを優先するかは悩みどころではあるが・・・。)

地元の人で、特に自分の親の世代以上では、標準語が上手く話せなかったりものすごく訛っている人も居て、自分が行くと、お互いにとっての「外国語」である普通话でコミュニケーションを取ってる感じで、逆に「標準語が正確(标准 biao1zhun3)ですね」と褒められることがあるぐらいである。つまり、中国の各地で訛りのある標準語が話されている状況なので、日本人を初め外国人標準語学習者はもっと自信を持ってもいいかもしれないと思った。

次回の日記は、文化風習編(2/3)とマカオ編(3/3)を予定中。色々書きたいことが多すぎて書ききれない!

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