いきなりですが、問題:
【問】イスラム教徒がもっとも多い国はどこか?
【答】A. インド B. サウジアラビア C. インドネシア D. エジプト
この問題は、自分たちがいかに固定観念に縛られているかを教えてくれる(正解を知りたい人は問題をそのまま検索エンジンに投げてみればOK)。自分は9月にこの答えである国に旅行に行っていたので答えられたが、そうでなければ単純に「イスラム=中東」という固定観念に縛られ、誤った選択肢を選んでいたと思う。
某社が声高く「グローバル化」を叫び始めるずっと前から、気づけば、今目の前にあるコンピュータ、使っているサービス・ソフトウェア、着ている衣服、食べている食材だって、ほとんどが外国産であることに気づくはず。「China Free」を究極まで追求する人は、明日から漢字を一切使わずにアルファベットだけで、全裸で飢えながら生活するしかない。自分の場合、職場でも、イスラム教を信仰するトルコ人や、ベトナム人、スリランカ人などの楽しい同僚達と日本語や英語でコミュニケーションし、食堂では中国人グループが中国語や日本語で楽しく会話をしている。
それほどまで現在の地球は相互に依存し合っている。
しかも、「国際的企業の多くは気づき始めているが、グローバルな志向はもはや理想ではなく実践の対象だ。世界的に競争の激しい業界において、「グローバルに統合された企業」になりきれない多国籍企業は長続きしないだろう」との言葉の通り、グローバル化とは、今やもはや「理想」や「憧れ」などではなく、ほぼ全ての人に取って「必然」である。
書店でたまたま手に取ったマーク・ガーゾン著『世界で生きる力 自分を本当にグローバル化する4つのステップ』が、自分の今の状況や問題意識とぴったりと合った良本だったので、特に印象的だった「世界で生きる力を身につける20の方法」を中心に書評を書いてみようと思った。
「グローバル化」の波が押し寄せている、とよく言うが、グローバル化とは何なのだろうか。企業は「グローバルな人材が欲しい」と言うが、そもそも「グローバルな人材」とはどのような能力を持った人材なのだろうか。著者はここから問題提起を始め、グローバル人材に求められる4つの能力を以下のように定義している:
- 1. 直視する力 — 正しく世界を見る
- 2. 学ぶ力 — 世界について受け入れる
- 3. 連帯する力 — 人間関係を構築する
- 4. 助けあう力 — 自分と同類ではない人たちとも協力する
つまるところグローバル化、特に「自分をグローバル化」することは、表面的で外的なことではなく、地道で内的な「行動」なのである。筆者の言葉を借りると、「自分をグローバル化するということは、冷房の温度をあげたり、特定のロックスターの声に耳を傾けたり、地元の作物を食べたり、ハイブリッドカーに乗ったり、恵まれない子どもの食事や政治犯の釈放のために小切手を切ったりすることえ得られる、パッケージ化されたエコ・アイデンティティや、しゃれたライフスタイルではない。」
twitter にも少し書いたが、真の国際協力とは、白人に対してニコニコしながら「どこから来たの?一番好きな日本料理は何?」とうわべだけの会話をすることではなく、ましてや、尖閣問題のニュースを見ながら「中国人ってのはまったく・・・」と管を巻くことではない。英語の教科書の Lesson 1 にありがちな、Mike とか David とかいう名の白人と “Nice to meet you, how are you?” と社交辞令を交わすようなシチュエーションは、ほとんどの日本人にとって現実的ではなく、おそらく片手の指で数えるほどしか起こらない。ほとんどの日本人、そしてその他の外国人にっとって、もっとも現実的な英語との遭遇、すなわちグローバル化の第一歩は、中国やインドを初めとする訛りの強い外国人と「four thousand!? too expensive!」とカタコトで値段の交渉をする時であったりする。
本当のグローバル化とは、一番身近にいる外国人と(それがどこの人であっても)仲良くなり、交流をし、問題について議論し、彼ら/彼女らが何を食べ、何が好きで、何が嫌いで、どういう「ものの考え方」をするか、というのを、肌で感じ、理解することだと思う。
「まず第一歩は、現実を認識することだ。真っ先に自分の観点を押しつけようとするのではなく、視点を内面に向け、自分のももの見方が自分の文化によっていかに理解不能な方法で形作られてきたかということを、より意識することだ」と著者は書く。
地球上のさらに多くの人が、このようなマインドセット(本書ではこれを GI – Global Intelligenceと呼ぶ)を身につければ(もしくは、少なくとも身につけようと努力をすれば)、今世界各地で起こっている様々な問題に対する見方もかなり変わるはずである。
本書では最後に、「まとめ 世界で生きる力を身につける20の方法」として、GI – Global Intelligence を上げる方法、すなわち、自分をグローバル化を挙げている:
- 1. 自らが変わる
- 2. 脳の両側を使う
- 3. 根源的なルーツを探る
- 4. 家にちゃんとドアをつけておく
- 5. 少数派の視点で考える
- 6. 学び続けることー無知でいる方法も含めて
- 7. 自分の世界観を事実に照らし合わせる
- 8. 敵を知る―徹底的に
- 9. 固定観念を信頼関係へと進化させる
- 10. マインドを広げる質問をする
- 11. 地球の声に耳を傾ける
- 12. うまくいく方法を忍耐づよく探る
- 13. 境界線を越えて行動する
- 14. 利益と価値の両方を考える
- 15. 遠近両方に旅する
- 16. 共通点を見出す
- 17. 複数の言語を身につける
- 18. 壁の向こう側を見る
- 19. 神聖なるものを探求する
- 20. 連携する
抽象的なアドバイスも多いので、ここから自分なりに具体的な行動に落としてみるとこうなる:
- 1. グローバル化には内面的・行動的な変化が必要であることを認識する。
- 2. 学び続ける – 言語・文化・宗教、共通点・相違点、多数派・少数派全てについて。知らなければ質問する。
- 3. 連携する – 自分と異質な人と知り合い、交流する。旅をする。一緒に何かをやる。困ったことがあれば助けあう。
重要なことなので 2 回言うと、グローバル化とは内的で地道な「行動」である。青年海外協力隊に参加したり、 NPO を立ち上げる社会起業家になったりすることは素晴らしいことだが、それだけが唯一の方法では決してない。





