マイクロソフトでの最終週(2/2)

最終週になって、出張などで週の終わりには出かけている人などと、たぶんこれで会うの最後だから、と言って別れの挨拶をしていたりすると、あぁついにインターンも終わるんだと実感する。ドキュメントやコードの整理をはじめ、やることは依然として山積みなので、ゆっくり感傷に浸っている暇もない。論文提出後の最後の2~3週間ぐらいは夜は早めにアパートに帰ろう思ってたものの、結局提出前とあんまり変わらない時間に帰宅していたりする。

最後の週末に、ルームメイトのAlexと別れの時がきた。彼は自分より1週間遅くインターンを始めたが、自分が2週間休みを取ったため結局1週間早く終わることになる。ヨーロッパに行ったときなど、きっと連絡することにして再会を約束しながら見送る。アパート全体を自由に使えるのは良いのだけど、この巨大なアパートに一人というのはどこか寂しい気もする。そして(ありがた迷惑だが)冷蔵庫に大量に食材を残して行ったのでそれを処理したり。最初に出て行く方は気楽なもんだ。でもBraunschweigerとか初めて食べたけどけっこうウマい。

Teriyaki

どうでもいいことだけど、シアトル周辺には妙に「Teriyaki」レストランが多い。ランチで一緒に行くメンバーも行く先のカフェテリアもだいたい決まっているのだけど、最終週のある日、時間も遅いし、道の向こうに警察が立っていてヘタに道路を横断できないということで、MSのキャンパスの南のはずれにあるTeriyaki店へ。アメリカでは、肉に醤油ベースで日本風の味付けがしてある料理ならなんでも「テリヤキ」である。なのでスーパーに行くと「テリヤキ・ソース」やら「テリヤキ・ビーフジャーキー」などの変テコな食べ物が売ってる。「本当はテリヤキていうのは調理法を差す言葉で・・・」ってちゃんと説明してみる。「確かに日本に行った時もテリヤキなんて名前の料理は無かったな」とBob談。そりゃそーだ。

同じアメリカでも、前に行ったカリフォルニアと比べてみると、地域によって店などの分布がけっこう違って面白い。シアトルのダウンタウンでは、「ほぼ1ブロックに1つずつスタバがある」「スタバの店内から隣のスタバが見える」というのは有名な話で、誇張が入ってるがあながち嘘でも無いのだけど、逆にアメリカで定番のWalmartを1度も見なかったのは不思議だ。誰かが「スタバの密度とWalmartの密度は反比例するんだよ」と冗談で言ってた気がする。一方でQFCというスーパーマーケットがけっこうたくさんあって、あまりに多いので地元の人はてっきり全米展開してるもんだと思ってるそうな。一つの地域だけ見て「全米」に一般化してしまうのはちょっと危険だ。

最終日

最終日には、ちょっとしたお別れパーティーを兼ねて、会議室を予約して日本茶を飲みながらダベるお茶会みたいなものをhisamiさんが企画してくれる。今回のインターンでは、正式なFinal Presentationをやってない(プロジェクトについて小出しに話す機会がたくさんあったし、そのせいもあって周りの人はだいたい何やってるか知ってる)のでこのような機会はありがたい。MSRでは、その月の最終金曜日には「Wine Down」というイベントがあって、1階のロビーで無料の食事とワインが提供されるので、月の最終金曜日の午後3時頃からはもう仕事する雰囲気ではない(一方かわいそうなインターン達はワインを横目で必死にデバッグしてたりしてるが・・・)。そのせいもあってけっこうお茶会にも人が来てくれてちょっと嬉しい。

会の終わりに、みんなで写真を撮るのはどう?と提案してみたら、あっさりとOKだそうで、MSRの建物の階段のところで並んで記念写真。このあたり、会社の中で写真を撮ることはもってのほか、カメラを持ち込むことさえ気軽にできないGoogleとはえらい違いである。

お茶会の後は、コードやドキュメントの最終確認。帰国した後はコードを見ることすらできなくなるので、プロジェクトの今後のためにもここでしっかりやっておくのが重要。合間をぬって、お世話になった人に挨拶しに行ったり、逆にオフィスまで挨拶に来たりしてくれる人も。最後には、自分とおなじオフィス(インターン用の4人部屋)で仲良くしていたSaraとJasonにお別れをする。オフィスの4人、インターンの後半では、昼休みの時間をスケジューラでブロックしてまで一緒にランチに行ってたぐらい仲良かったので名残惜しい。境遇も似てるので色んな話を一緒にしたものだが、きっとどこかの学会で会えるはずなので(直近ではEMNLP08)、お互いに今後の健闘を祈りつつオフィスを後にする。

隠し部屋

その後はhisamiさんに食事に連れて行ってもらった後アパートへ。色々と借りていたものもあったので、自分が新たに買ったもモノも含めてごっそりとお返しする。MSRのインターンに代々伝わる和食キットについては、ここで前にも書いたしmamoru-kさんのブログでも何度か登場していたが、それにさらにドライブ地図セットやら自転車用の空気入れ+ヘルメットやら色々なものが加わり、キットの規模がさらに増している。そのまま来年のインターンに残してくれるそうなので、こういう日用品の調達にあまり悩まされずに研究に没頭できるのはうらやましいかも・・・。

アパートのガレージに車を入れている時に、奥に見慣れないドアがあるのをHisamiさんが発見する。開けてみるとなんとそこにはもう一つの見知らぬ部屋が。こちらは入り口とは逆の通りに面した部屋で、これもこの巨大なアパートの一部らしい。というかAlexと二人で3ヶ月間住んでて誰もこの「隠し部屋」の存在に気付かなかったのはかなりマヌケな話ではあるが、それにしてもこのアパートの広さはやはり尋常じゃない。通りに面しているのでこの部屋をちょっとしたオフィスに改造して商売でも始められそうな感じ。帰国後焦ってAlexに報告することにする。

出国

最終日の次の日にはもう出国の日である。今回取得したJ1ビザでは、プログラム終了後も1ヶ月以内ならアメリカ国内に残って観光などができるが、日本時間の次の月曜に間に合うためには、やはりアメリカ時間で土曜のうちに出発しておきたかったのだ。

帰りはEstrellaがアパートから空港まで送ってくれる。彼女は最初はチューターとして、craigslistで適当に見つけて時間いくらで英語の練習に付き合ってもらってたのだが、話も合ってだいぶ仲良くなったので、後半は英語の練習関係ナシにランチに行ったりディナーに誘ってくれたりしてたのだった。帰国後もコンスタントに週1でSkypeで話したりして、間違いなく今回のインターンにおけるキーパーソンの一人である。最後にお互いともに少しウルっと来てしまうような別れって、人生で何度もあるものでもない。

(ちなみに彼女、ESLの経験豊かだしとても良い先生なので、英会話力の向上などでもし困ってて興味がある方がいたら言ってくれれば紹介します)

結局、荷物を別便で日本に送るのが面倒だったので、不要なものをけっこう捨てたり人にあげたりした割にはチェックイン荷物がとんでもない量になる。スーツケースも大きかったのであっさりと重量オーバー、”Very Heavy”のタグをつけられて50ドルの追加料金を徴収される。シアトルの気候が予測できなくて服が大量になったのが最大の敗因なので、インターンに来るときはファッションについては多少目をつぶらないといけないと思った。

帰国後

帰国1週間後、研究室でのミーティングでさっそく「MSRインターン報告」と題してプロジェクトの内容をプレゼンする。最初から最後まで通して説明するのは初めてだし、スライドも全部書き下ろしである。ずっと英語で考えてきたプロジェクトを日本語で説明するのはけっこう骨が折れるが、遅かれ早かれ必要になるので訳語をウンウン考える。

今回のプロジェクトは研究ネタとしては「狭く深い」というよりは「広く浅い」話なので、例をたくさん交えながら、モデルの難しいところも数式をなるべく出さずにさらっと流す(数式を著書に1つ加えるたびに売り上げが半減する、と言ったのはスティーブン・ホーキングだったか)。対象が日本語だし例が身近なので、研究室の皆さんも楽しんでくれてたようでよかった。この話、今度9月の第3回NLP若手の会でさっそく発表する(採択通知をいただいた)ので、また濃ゆい議論ができるのが楽しみである。

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