Microsoft Research@シアトルでのインターンから帰ってきました。コネ・社会経験ナシの情報系大学院生が、腕一本で「世界で一番アツい会社」に就職するまでの記録
18 6月
人工知能学会全国大会
6/9~11は人工知能学会全国大会の併設ワークショップJURISIN 2008
で発表するために旭川へ。こんなお話をしてきました。
このJURISIN 2008、Juris Informatics(法情報学)のワークショップなんだけど、ヨーロッパに既にあるJurix
に対抗(?)してアジア圏でも同様のことをやりましょう、という趣旨で始められたそうな。EACLとIJCNLPの関係に近いかな? 自分ら以外の参加者は法律の専門家と人工知能の論理とか推論とかやってる人が多くて発表のほとんどがちんぷんかんぷん。発表スライドの2枚目から論理式の羅列がずーーーっと続くような発表ばかりで、もうおなかいっぱい。(でもM浦先生のInvitedはむちゃくちゃ面白かったけど。)
それでも、外国人の参加者とか、ちゃんと発表を理解して適切な質疑・コメントをしている(少なくともそう見える)ようですごい。そんな話をお昼にM浦先生とかK田先生とかとしていたら、やっぱりいくら論理系の話であっても、論文のように論理式を羅列するのは良くない!ということ。「こんなフレームワークを作りました」「こういう証明をしました」って言っても、「それが何の役に立つのか」「そのキモはどこなのか」が理解されなければ意味がないので、発表なんて背景・目的をしっかり言った後で、思いっきり単純化したキモのモデルの式をばーんと出してそれで終わりで良い。それをふまえて自分の発表を見直して見ると、ちょっと詳細を語りすぎたかも。そのせいで時間もなくなってしまったわけだし、目的とキモを伝えた後で「NLP使えるよ!」ってアピールして終わりぐらいで良かったかな。
ちなみにつぎのJurixはイタリアのフィレンチェで開催なので激しく行きたい。Florenceってフィレンチェのことだったのか、初めて知った。Viennaとウイーンもそうだし、英語は何でも変な発音で読んでしまうのは勘弁してほしい。そして次のJURISINは高松で、こちらもうどんを食べに激しく行きたい。でもせっかく国際会議なんだから、もっとメジャーな場所でやったほうが良いのでは??
今回北海道初体験だったんだけど、一時帰国中で時間も無いので、旭川ラーメンを食べたりちょっと人に会ったりしただけで帰ってくる。本会議ではエクスカージョン(?)で旭山動物園に行くらしいけど、なんかあんまりうらやましくないな・・・。旭川なのにけっこう暑かったのはちょっと意外。会議室にエアコンが付いてなくて、あまりに暑いので窓全開で会議をやっていて、外の騒音とかが丸聞こえなのには参った。
不幸
旭川出張が終わってからは実家に帰ってたんだけど、身近な人に不幸があったので、実家にも近かったし葬儀に行ってくる。MSRインターンの時も、家族に不幸があって祖国に帰ってる人がいたのだが、こういうことは続く(というか、続いた時の印象が強い)もんだなぁと思う。その後は大学に顔を出して、先生や後輩と話したり、ACLのスライドを作ったり、溜まっていたペーパーワーク(というか出張関係の書類)を片付ける。今回あまりにイレギュラーな出張が多くて、先生にはご迷惑をおかけっぱなしである。感謝感謝。
時差ボケ解消テクニック
週末は友人TとかNと会ってぶらぶらしたりメシ食べたりしながら、そのまま宅飲み。インターンに行ってる間にHDDレコーダに撮り溜めた爆笑レッドカーペット(8週間ぶんぐらいある)をひたすら鑑賞して腹筋を鍛える会、みたいな感じになる。楽しすぎるのでインターンの後半が終わった後にもまたやりたい。飛行機出発は早いし、荷造りはしてないし、出発前夜にこんなことしてていいのかという感じだけど、時差ボケを直す基本は、1.長時間起きてて体内時計を狂わせてから、2.疲れ果てて現地時間の夜に寝てしまう、ことだと信じてやまないのでOK。この1.を実践する最適な方法が、出発前夜に夜通し飲むこと。思えばGoogleインターンの最終日もそんな感じだった。
前にMSの日本人社員の人たちと話していたとき時差ボケ解消の話になったのだけど、だいたいこの基本というのは同じらしい。他に時差ボケにならないために自分が実践していることは、飛行機に乗った瞬間(もっと言えば、出発地の空港にいる瞬間)から現地時間で行動するというもので、飛行機の中で現地が夜ならお酒を飲んで無理矢理寝てしまい、現地が昼ならコーヒーを頼みまくって無理矢理起きていると良い感じ。
最近、飛行機に乗る回数がやたらと多い(2週間で9回乗る)ので、ノイズキャンセル・ヘッドフォンのBOSEのQuietComfort 3を栄のアップルストアで購入する。値段が値段だけに消音性能は素晴らしいものがあって、愛用している耳栓サイレンシアと組み合わせるとほぼ無音状態を作り出すことができる。むしろあまりに周囲の音が聞こえなさすぎて使う場面によっては逆に危ないぐらい。このおかげで行きの飛行機の中ではかなり快適に眠ることができた。
一点、ヘッドフォンとしての音質はそんなに高くないのが残念なところ。純粋に静かなところで音楽を楽しむのなら、これまでiPod Touchと一緒に使ってたAKGのK324Pのほうがはるかに良い。このイヤフォン、密閉性が高いし、低音の再現性・ソリッド感がすごくて、これまで使ったイヤフォンの中でもコストパフォーマンスは高いと思う。ある程度の騒音だったらこのイヤフォンだけでほぼ十分である。
オハイオに到着
日曜のうちにACL 2008に参加するためにコロンバス@オハイオ州に到着。もともと中部国際空港→成田→デトロイト→コロンバスで飛行機を2回乗り継ぐ予定だったのが、成田→デトロイト便が混んでいるということで、なぜか中部国際空港→デトロイトの直行便になった。なぜ初めにこの便が最適便として出てこなかったのかがよく分からないが、デトロイト→コロンバスの便は変更無しなので結局あんまり得した気がしない。でもデトロイトのメトロポリタン空港は広いし、空港内にメトロが走ってるし、噴水やら鳥の放し飼いやらいろんな仕掛けがあって退屈しない。横に4列しかない30人乗りぐらいの小型機に乗ってデトロイトから1時間ほどでコロンバスへ。
ホテルに着いた後、コンビニのような売店を探すために周囲をふらふらしていると、ちょうどACLのWelcome Receptionが終わったようで、Reception会場から帰ってくるMSRの知ってる人何人かに会う。会場のOhio Statehouse(ギリシャ神殿のような造りである)まで行ってみると、会場から閉め出された参加者が集まってダベっている。適当に話しかけて状況などを聞いていたけど、知ってる人はもういなかったのでそのまま帰ってくる。ホテルのフロントが教えてくれた売店などに行ってみるも、日曜の夜遅くなのでことごとく閉まっているためおとなしく退散。レストランもけっこう閉まっていて、コロンバス街中にも人がほとんどいない。なんだか人工的なゴーストタウンのようで少し違和感がある。
時差ボケ解消テクニックのおかげで、着いた日にもかかわらず完璧なタイミングで就寝+起床することができた。発表が初日なのでちょっと心配していたがこれなら大丈夫そう。続きはまた来週!
11 6月
今週に入って、NLPグループにも新たに2人のインターンが入ってきた。もうわざわざ書くのも面倒なくらいだけど、今年来る予定の人数は聞いていたので、だいたい出そろった感じである。
インターンが多く入って来て面白いプロジェクトが色々と回っているので、lucy-vがミーティングを新たに企画してくれた。関連あるプロジェクトに関わる人があつまって、インフォーマルな感じで情報交換する。
とりあえず集まって自己紹介などをした後、とりとめなく喋っていると、自分がインターンの中でも一番プロジェクトが進んでいるので、現在やってることを即興でプレゼンすることに。社員の人と個別にミーティングしたり何やってるか話したりすることはよくあったのだけどこうやってある程度の人の前で紹介するのは初めてである。といっても、プロジェクトの、今回の聴衆に興味のある部分はhisamiさんが主に担当しているのでその話でほとんど終わる。正直自分が全部話せといわれたらできた自信が無い。
Company Store
今週が終わった段階で一度日本に帰るので、おみやげを調達するためにCompany Storeに行ってくる。この購買は、マイクロソフトの社員用+来客用に、マイクロソフト関連のグッズや、ソフトウェア、書籍などを売っていて、とくに社員とインターンは割引されたソフトウェアを買えるのが目玉。これがハンパ無く安い。ついつい買いすぎてしまう。
本当は家で遊ぶ用にXBox360が欲しかったのだけど、ソフトウェアと違ってハードウェアは割引が無いし、どうせソフトにはリージョンコードがあるし、(文字通りの、外)箱がでかすぎるので今回は見送りに。インターン終わる直前に買って郵送してもいいけど、それなら日本で買ったほうがいいな。
今週はIce Cream Socialというインターン向けのアイスクリームを食べまくるソーシャルイベントがあったが、気候の変化がまた激しくて気温があまりにも寒いので、代わりにクッキーやケーキやらを食べまくるイベントに変わった。といっても、実装のほうで手いっぱいでそれどころではなかったので、同じく「変なバグが潰せない」と嘆いていてそれどころじゃないJasonと一緒に食べ物だけをかっぱらいに行ってくる。同じ目的のインターンもけっこういて、やっぱり相変わらず全然Socialではない。
レンタカー
MSのインターンは、インターン中の通勤手段として、自転車プラン(自転車購入代を会社が援助してくれる)かレンタカープラン(レンタカー代を援助)かを選べる。レンタカープランを選んだわりには、「車を使う場面がない」といってこれまで借りてなかったルームメイトのAlexが先日ついに車(HyundaiのSonata)を借りてくる。先日、ランチでワシントン州のドライブの話が出たついでに、そのまま盛り上がってhisamiさんが色々と教えてくれて、ワシントン州のドライブマップとかガイドブックやらを貸してくれたので(感謝!)、インターン後半でドライブ旅行に行ってみようかと計画する。この「ドライブキット」も「和食キット」と同様に、来年来る人用に残して日本人インターン間で継いでいったらおもしろいかも。
一時帰国
木曜には、提案手法の有効性に対する定量的な結果もぼちぼち出てきて、週末に帰国する直前としてキリの良いところで落ちつく。金曜はミーティングやら買い出しやらでゆっくり実験しているどころではなかったのでちょうど良い。そのまま帰って、アパートに置いていくもの、日本に持って帰るもの、引き続き使うものをうんうん悩みながら選別して荷造り完了。土曜にシアトル・タコマ国際空港(Sea-Tac)まで、借りたばっかりのレンタカーでAlexに送ってもらう。土日は道が空いているし、RedmondからSea-Tacまでの道も簡単なので何の問題も無く到着。Alexはそのままシアトル散策に行くそうな。
飛行機の中では空港の売店で買ったRandy Pauschの”The Last Lecture”を読む。人前なのに何度か目から変な汁が出そうになる。家でひっそりと読めばよかった。このThe Last Lecture、たつをさんも書いてるけどYouTubeやGoogle Videoで実際の一時間半の講義全部が見られる。オススメはGoogle VideoにあるClosed Caption付きバージョン。あとで何度も見直したい。
帰りの便では、手違いで用意された朝食が足りないというトラブルに遭遇。アテンダントが謝りに来て、$10分のクーポン(マイルにも換算できる)をもらったのだけど、その後、ビジネスクラスのほうで余分があったらしくて、機内食だけグレードアップされた。クーポンも既にもらっているので、両方もらっていいの?って聞いたらOKだそうで、なんか得した気分である。でもアップグレードされた後の機内食も全然おいしくないんだけど・・・。この味なら、アップグレードされる「前」はどんなんだったんだよ、と逆に怖くなる。さすがノースウェスト航空である。
本物のプログラマは蝶を使う
おまけ。会社のMLで昼間っからエディタ戦争が勃発していた。よくある光景。
そこ経由で知ったマンガだけど、思わず吹いたので紹介。
Real Programmers
http://xkcd.com/378/
以下、セリフ訳してみました。
nano?本物のプログラマはemacsを使うんだよ。 おい、本物のプログラマはvimを使うんだ。 おっと、本物のプログラマはedを使うんじゃないか。 いやいや、本物のプログラマはcatを使うんだよ。 本当のプログラマは、磁気を帯びた針と器用な手を使うのだよ。 悪いけど、本当のプログラマは蝶を使うのさ。 手のひらを広げて、繊細な羽をひとはばたきさせるだろ。 するとその空気の撹乱が次第に波及していき、上空の大気渦の流れを変えるんだ。 これが引き金になって、空気の高密度領域が一時的に形成されて、 それがレンズの働きをして、地球に降り注ぐ宇宙線を屈折させる。 最後にそいつがディスクのプラッタ上に焦点を結び、狙ったビットを反転させるのさ。 ナイス。もちろんemacsにはそれをやるコマンドがあるんだけどな。 そうそう!C-x M-c M-butterflyコマンド、懐かしいな。 くそっ、Emacsめ。
そういえば前に見たButterfly Effect、けっこう面白かった。ちょっと悲しい話だけど見終わった後の感じもなんかさわやか。もう一度見たい。
3 6月
インターンの侵略
アメリカの大学はそろそろ夏休みが始まっているところが多いようで、MSに来るインターンの数がとんでもないことになっている。聞くところによると今週1週間で新たに開始した人はウン十人で、オリエンテーションもMS(本社)とMSRとは別開催になった。自分のときは本社のインターンはおろかフルタイム社員と同時開催だったのに。社内の空きスペースの至るところにインターンが配属され、「こんなところで仕事!?」と思うようなところに忽然とオフィスが設置されていて、4月に始めた自分から見たらちょっと気の毒である。
インターン同士で話すときに、インターンの人数を数えるときには「busful(バス1台の)」を使う。「今週はバス2台分のインターンが来たよ!」とか。もちろん、イベントにみんなでバスに乗ってごっそりと移動する様を揶揄した冗談なんだけど。アメリカなんて、長さとか重さとか、時間以外のほとんどの単位がいまだに世界と違うんだから、人数の単位が違っても不思議じゃない。
自分のいるオフィスにもまた一人、Georgia Techから来た Jason(中国人)が配属された。研究グループは違うが、同じアジア人だけあってやっぱりノリが合うしなんとなく気楽。そのおかげで事あるごとに喋っていて研究が全然進まないのが悩ましいところ。ネックは中国語なまりの英語なんだよね・・・。インドなまりの英語は、前にも書いたけど音素が規則的にシフトしていて、対応関係を覚えると比較的聞き取りが楽になるのだけど、中国語なまりは、子音が弱いせいか全体的になんとなく滑舌が悪いような感じで、申し訳ないけどかなり苦手である。しばらくすれば慣れるものなのかなぁ。
逆にルームメイトのAlexとか、デンマークから来た別の人とか、ゲルマン語系を母語とする人たちってなんであんなに英語が流暢なんだろう・・・。(前にデンマークに学会で行ったとき、国民のほぼ全員がほぼ完璧な英語すのにびっくりした)ごくたまに言い回しが不自然なところがあるのだけど、それ以外は、まるでイギリスなまりの英語を聞いてるようでとっても自然。母語との距離が非常に近いからだと思うけど、あれだけ近いと、きっと語学というよりは単に単語の対応関係を学習するだけで済んでしまうんだろうな。うらやましい。
Cirque du Soleil
今週のイベントの目玉は、現在Redmond市内に特設会場が来ているCirque du Soleilのショー「Corteo」をみんなで見にいこう、というもの。良い席を普通に買ったら100+数十ドルしてしまうチケットを、移動も含めて無料に提供するのはさすが太っ腹。結果的に参加したインターンはバス2台分(two busfuls of interns)。みんなで会社のロビー前にわらわらと集合して会場に向かう。行き帰りのバスの中では、なぜか中国人インターンに囲まれる。というか中国人がそもそも多すぎ。バスの2/3ぐらいで中国語が飛び交っていて、アタック25的に自分まで中国語が流暢になりそうな勢いである。
ショー自体はかなり良かった。前にラスベガスで見た「O」とちがって、円形のサーカスの中心にスリット状の舞台があって、そこをシーンが推移していく感じ。観客は舞台の左右に線対称に配置されていて、皆中心を向いて鑑賞する。舞台との距離が近いせいか、「O」と比べてパフォーマンスは控えめだけど繊細でバリエーションが豊か。観客参加型のパフォーマンスとかもあったりして、会場も一体になって楽しめた。終わった後には皆総立ちで拍手。スタンディング・オベーションって自分でやったのは生まれて初めてかもしれない。
問題は、予約してあった席があんまり良くなかったこと。自分の席はまだ良かったけど、中にはカーテンの後ろに隠れて舞台があんまり見えない席もあったようで、後から文句を言ってる人もちらほら。これもまたタダだからあんまり文句は言えない。
週末、研究、COLING
金曜はメンターのhisamiさんの家に招かれて他の日本人社員の方々とバーベキュー。とても楽しい時間が過ごせて素敵な週末だった。今週でインターンシップの12週のうちちょうど半分が終わってしまったわけで、折り返し地点の区切りとしては文句無い感じ。あと1週間後に出張のために日本に帰るので、精神的にも一区切りの感が強い。研究も、提案手法の実装がとりあえず落ち着いて、あとは評価かな。EMNLPに無事まにあえばいいけど。
金曜日、仕事をしている時に気になってメールボックスを開いてみると、COLINGの査読結果が届いている。今回は、共著で出した方がOKで自分ファーストオーサーで出したほうがNGだった。はぁ。日本だと、国際学会の査読結果って、朝起きてメールを開くと届いている感じなので、こうやって仕事中に届くのは新鮮。バーべーキューが終わるまで開かなかったらもっと良い週末が過ごせたに違いない。