Microsoft Research@シアトルでのインターンから帰ってきました。コネ・社会経験ナシの情報系大学院生が、腕一本で「世界で一番アツい会社」に就職するまでの記録
20 1月
先週、国際学会でインドのハイデラバードに行ってきて、日本人の英語の学習に欠けている、とても大事な要素を改めて認識した気がしました。
それは、「不潔な英語」に強くなろう、ということです。
この「不潔な英語」というのは、なにも “shit” や “F-word” のことではなく、日本の受験英語のような、「理想の条件で話される綺麗な英語」の対局にある概念です。
例えば、大学入試では、「”might as well”を使った短い文を英作文せよ」みたいな問題が出て、それを10分も20分もかけてウーンウーンと考えて解くわけですが、実際に英語を使う時になると、そういった要求はむしろまれで、周りがうるさかったり、向こうの英語の訛りがすさまじかったり、アメリカ人によく分からない phrasal verb を連発されたりするという、理想とはほど遠い条件下で、いかにこちらの要求・意図を的確に伝えるかという能力がカギとなってくるわけです。
(そういう意味で、国際線の飛行機の中で、添乗員とやりとりする会話っていうのは、こういう不潔な英語に慣れる良い練習だと日頃から思ってます。当然のように周りはうるさいし、添乗員が綺麗な英語をしゃべってくれるとは限らないし、変なメニューが出てきたら、それは何かを聞いて即座に判断する必要がありますから。まぁ、たいがい、”orange juice”と”chicken”だけ話せればやり過ごせるとは思いますが・・・。)
英語が国際語として広く使われるようになるにつれ、海外行ったときに現地の人と話したり、「非ネイティブ」と英語を使う機会が増大していると思います。自分が、これまで英語を使ってきた相手のネイティブ:非ネイティブ比は2:8ぐらいで、英語圏で生活するようにならない限りはこの比はそんなに変わらないように思います。そうすると、不潔な英語に立ち向かう必要性というのは増えることはあっても減ることは決して無いのではないでしょう。
言葉は悪いです、インドはこの「不潔な英語」にどっぷりと浸れるいい機会だと思いました。インド人の英語は、ネイティブにすら「分からない!」と言われるほどですからね(苦笑
(ちなみに、現地でヒンディー語の入門書を買って、基本的な部分を練習していたら、英語のインド訛りの由来らしきもの分かって、少し聞き取りが楽になりました。ヒンディー語には、例えば”t”や”d”の発音に、硬口蓋音(舌を丸めて天井に付ける音)のバリエーションがあって、英語などの外来語はそちらに対応付けされるらしいです。さらに、”r”音はすべてはじき音。そうすると、例えば”doctor”が「ドクター」じゃなくて「ダークタル」という感じになる。どうりで全体的に巻き舌音っぽくなってると思った。)
では、不潔に強くなるためには、どうしたらいいの?というお話。いきなり「不潔に強くなる!」っていって、インドのような不潔英語のかたまりのような場所に突然身を投じても、せいぜいおなかを壊して(ひどい目にあって)泣きを見るのがオチだと思います。
不潔な英語に強くなるためには、やっぱり「基礎体力」だと思う。
基本的なことがしっかりと身について、理想的な環境では何の問題も無く会話できる基礎力。
少しぐらい長い文や早口にも耐えられるスピードとスタミナ。
文法や単語、状況が少しぐらい逸脱しても対応できるタフさと柔軟さ。
学校のお勉強で身につくのは、せいぜい一番上の「基礎力」だけです。スピードとスタミナ、タフさと柔軟さは、膨大な量の基礎トレーニングをこなして初めて身につくんですよね。
そういう意味では、語学っていうのは「お勉強」ではなく、スポーツの訓練や楽器の習得、ダイエットなどに非常に似たもの、だと常日頃から思っているのですが、あんまり同意してくれる人がいなさそうです・・・。
ちなみに、この「不潔な英語に強くなる」という考えかた、このエントリで渡辺千賀さんの書いている「不潔に強くなる」という考え方と非常に似ていると思っています。このエントリでは、じゃあ具体的にどうしたら良いの?という点には触れてられてはいませんが。
On Off and Beyond: 不潔に強い人間になるという強い覚悟
http://www.chikawatanabe.com/blog/2005/09/post_1.html
コメント欄より。「不潔に弱くては、楽しい冒険に満ちた自由な人生が送れない」
激しく同意。
あんまり関係ないけど、現地でインド人と話をしているとき、こっちが何かをお願いしたり、何かを質問するときに、眉間にシワを寄せて首を横に振る仕草をされることにびっくりしました。その仕草は、日本で言うといかにも「いやいや何言ってんだよコイツ」と言わんばかりのもので、それをこっちがまだ話し終えてないときにされるので、ちょっと変なこと言ったか?と心配になってしまいます。
実はこのジェズチャー、インドではどうやら「そうだね」「まったく問題ないね」という意味を表すジェズチャーらしい、というのがだんだん分かってきました。初めてこのジェスチャーを見たのが、確かホテルで荷物運びか何かを頼んだ時だったので、ああ、今のは“No problem.”の意味でやったんだな、と勝ってに解釈して、結果的には問題なかったんですけどね。
17 1月
先週まで、インドのハイデラバードで開かれた国際学会IJCNLPに行っていました。ハイデラバードの観光とかグルメとか自爆テロ(?)とかについては他の人もいろいろと言ってたり書いてたりするのであえて触れません。
今回は、就職活動における国際学会の活用について書きます。今回のIJCNLP、Opening Sessionで松本先生がおっしゃってたアナウンスによると、
- 応募件数270ぐらい
- 採択数67ぐらい
- オーラル採択率25%ぐらい ポスター入れると49%ぐらい
- 一番多いのが日本からの発表 42件
- 次が中国 21件
- 次アメリカ、11件
- 次インド、数覚えてない
という参加状況で、日本人率の非常に高い学会でした。ちなみに上の数字は自分の記憶だけがベースですので、正確でない可能性があります。(ACLみたいにスライドで出してほしかった・・・。)
自分は、「学会(特に国際学会)に行ったら、最低でも5人は新しい知り合いを作る」を常日頃から目標としていて、これまでコンスタントに達成できているのですが、今回はそれも初日に早々と達成してしまい、そこからは芋づる式、実りの多い学会だったと思います(いつも学会で遠巻きに顔を見かける方々とか、その筋では有名なブックマークでお世話になっている方などなど。ありがとうございます。)また、自然言語処理コミュニティーの方々に、「自分はどういう分野のどういうレベルの研究をやっているか」ということを示すことができたのも大きいです(これはもちろん良くも悪くも働くのですが)。
また、今回ひしひしと感じたのが、自分は就職マーケット(job market)に出ているという実感。良い意味での緊張感。出会う人・人に「就職どうするんですか?」と聞かれる。その度に「ほんと、どうするんでしょうね?w」なんて他人事のような返事をしておく。もちょい具体的にお話しても良いんですが、例えば「アカデミック職には興味がありません!」なんて言っちゃって、可能性を狭めたく無いので・・・。
特に博士の就職については、正直コネが強いという点はやっぱり否定できません。指導教官の先生に相談しても「そのうちに、突然あっさりと決まったりするもんだよ」となんだか身も蓋もないアドバイスをいただいたりするのですが、その「突然あっさり」という不確定な事象の確率を少しでも高め、幅を広げるためにもこういう種まき的な活動は必要不可欠だなぁと思います。
まさに、Chance favors the prepared mind. ですね。
研究や英語など、学会の他の側面についてはまた別の機会に書きます。