Microsoft Research@シアトルでのインターンから帰ってきました。コネ・社会経験ナシの情報系大学院生が、腕一本で「世界で一番アツい会社」に就職するまでの記録
29 7月
たまには論調風の記事でも。
私の知る限り、研究者がコンピュータを構想する以前にSFに書かれた類似の機械は存在しないし、研究者がインターネットを構想する以前にSFに書かれた類似の機構は存在しない。つまり、情報技術に関してはニーズが先行したことがないと言える。携帯電話の普及も好例だ。
SNS然り、近年のサービス系Webサイトも例に漏れないと思いました。
上記は、中島秀之「通信する情報と処理する情報」 『情報処理』2007年5月号からの引用です。なんとなく読んでた雑誌の一記事だったんですが、自分が最近悶々と考えたり感じてたことを上手く明文化してくれていたので引用しました。
最近思うのは、Webサービスを作ることっていうのは、「映画を作ること」にかなり似ているんじゃないかなぁということです。人によっては「何を当たり前のこと」と思うかもしれません。好きな人は「ゲームを作ること」に置き換えてもいい。こっちのほうが直接的に分かりやすいかも。様々な異なる技術を持った人々の共同作業・創発行為の上に成り立つこと、市場の「流行」はあるものの「ニーズ」が先行しないこと、明文化できない作り手の「センス」にかなり依存するということ、がその理由です。
橋本大也氏の唱える「芸術的プロダクション」もこの考えにかなり近いものがあります。
氏の言葉を引用すると、
YouTubeにせよmixiにせよ、誰かが欲しいサービスを作ったわけではなく、作ってみたら便利だったという需要創造モデル
です。例えばの話、mixiが出る前に、現mixiのユーザーのうち何人が「こう、日記が書けて友達を登録して繋がることのできるサイトが欲しいなぁ」なんて考えたでしょうか?mixiが出てきて、周りの友人も少しずつ参加するようになってきて、初めて「あ、これ便利じゃね」と気づくものですよね。
このように「ニーズ」が先行しない分野については、従来のマーケティングがうまく行かない場合が多いと思います。そもそもニーズが無いのだから、存在しないものを分析できるわけがありません。では、こういった「芸術的プロダクション」を行い、企画・マネッジメントを随行していくのに必要な能力とは何なのでしょうか?自分としては、以下の3点が重要になってくるのではないか、と考えています。
1. 創造力 - 文字通り、新しいサービスや仕組み、作品を創造すること・考えることのできる能力。これを測るのは結構簡単で、ブレストしていて、アイデアの良し悪しに関わらずポンポンと意見が出て来る人はこの能力がけっこう高いと言えそうです。
2. 想像力 - (日本語で書くと同音異義語だけど、creativity と imaginationね)。そのサービス・仕組みがどの程度便利か、どの程度ユーザーを獲得できるか、を頭の中で的確にシミュレーションできる能力。この能力は、以下で言う「常識力」と、「論理的推論力」で成り立っていると思います。ブレストや企画のときに、「このアイデアだと、Aだと仮定するとBになるよね」とか「でもそのアイデアだとCという問題が発生する可能性がある」ということがポンポン言える人はこの能力が高い。
3. 常識力 - その業界・市場で人々が何を好み何を嬉しいと思うか、梅田さんの言う「不特定多数無限大」の存在を認知して分析・共感できる能力。「想像力」の的確なシミュレーションをするために必要。ポール・グレアムの言う「よい芸術」を見分ける能力、に近いかもしれないです。
最近、自分の関わっていたプロジェクトが1つポシャってしまったので、自戒も込めて、Webサービス作りについて改めて考えてみました。
2 Responses for "ニーズは情報技術に先行しない - 芸術的プロダクションに必要なもの"
自分はどうだろうと考えてみたけど、
1.はそこそこ行ける気がするけど2.と3.は・・・
この3つが一人で備えなくてもチームで備えられたらいいよね。
ある人が荒削りのアイデアを創造して、別の人がその結果を想像して微調整する、なんてこともよくありますからね。むしろそのためのチームであったりブレストであったりするわけですもんね。個人でサービス作ってても友人・知人にブレスト付き合ってもらうことでけっこう補えそうです。
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